料理人をめざすのって、『かっこいい』『自分もこうなりたい』といった憧れがきっかけになることも多いと思うんですよ。それもメディアに出る理由の一つです。成功すれば、一流企業をも超えられるのがこの世界。成果もわかりやすいうえ、お金をもらって人に喜んでもらえ、お客様の笑顔も見られる。さらには生産者の応援もできる。素晴らしい仕事だと実感しています。今までの常識を覆し、中華の世界を変えていきたいんですよ。自分に関わってくれた人を、一人でも多く幸せにするために何ができるのか。そのことを常に考えながら、周囲に貢献していくことが人生のテーマです。それが実現できるのが、“食”の世界だと思いますよ。
卒業後はすぐに働きたいと工業高校へ進学したんですよね。だけど工業分野に楽しみを見いだせず、決まっていた就職先を蹴ってフリーターに。ファッションやヘアスタイルについて考えるのが割と好きだったから、お金を貯めて美容師の専門学校へ行こうかとも考えていた時、たまたまアルバイト先に選んだのが、自宅近くの中華料理店でした。料理の経験はゼロでしたが、仕込みで包丁を使い始め、見よう見まねでまかないの料理もつくるようになると、自分的にはお店で出しているものよりもおいしく感じたんです (笑)。その積み重ねで面白くなり、目標を調理の専門学校に切り替え、1年間で和洋中が学べる大阪の辻調理専門学校への進学を決めました。
自分で働いて準備した学費。全額自分で支払っている以上、もとを取らないと…というつもりで通っていました(笑)。日本料理や西洋料理もおいしいとは思ったんですが、せっかちな自分の性格には向いていない。鍋を振るのが好きだったし、バッと勢いよくつくれるのが楽しかったんですよ。学生時代、中国料理以外も学べ、それぞれ味わえたのも、後に生きてくる良い経験になりました。
コロナ禍でも積極的に出店計画を推し進め、人材教育に尽力。段階的に輝けるポストをつくり、スタッフのやりがいを生むためにも、店舗を増やしています。料理人である前に、まず人として、社会人として、個人個人を成長させたい。そのためにも外部機関を使った学びを提供しています。先日、財務のプロを呼んでレクチャーをしてもらったところ、スタッフにも大好評でした。数字の感覚がないと、在庫管理にも苦戦しますし、いつかお店をもちたいなら料理を学ぶだけでは不十分。会社で活躍してくれるのが一番うれしいことですが、独立開業をめざすなら応援したい。出会ってくれた人が成長してくれることが、自分にとっては一番大切なことだからです。
株式会社セブンスイノベーション/中国菜 エスサワダ/調理師本科/2000年卒/兵庫県出身。神戸村野工業高等学校を卒業後、中華料理店でのアルバイトを経て辻調理師専門学校に進学。卒業後、兵庫「新阪急ホテル」に就職。香港の「スタンフォードホテル香港」や『福臨門酒家』で修業。愛知の『福臨門酒家』や東京の『火龍園』、『グランドハイアット東京』で経験を重ね、大阪の『ジョーズ シャンハイ ニューヨーク』や『中華旬彩サワダ』の料理長に。2016年、大阪市内に『中国菜 エスサワダ』を開業。2019年に『中華バル サワダ』、2020年に『中国菜 エスサワダ 西麻布』(東京)、2021年に『大阪中華サワダ飯店』、『大衆中華 さわだ食堂』をオープン。