「いつかは自分の店を」という、夢を叶えたのは35歳の時。東京・仙川で地域に根付いた中華料理店のオーナーシェフをしています。この仕事の魅力はお客様を笑顔にできること。調理師には様々な幸せがあります。料理を作る楽しみはもちろん食べてもらう喜び、そして自分の店を持ってからは、地域の人と関わる幸せも加わりました。この業界は厳しい世界なので常に楽しいことを見つけるようにしています。コロナ禍で大変な時もありましたがすぐに気持ちを切り替えて、テイクアウトの対応やメニューの刷新など、工夫したことが成果につながると新たな喜びも生まれます。現在スタッフは7人。今は経営者としての責任もやりがいにつながっています。
子どもの頃から食べるのが好きで、両親が共働きだったこともあり、小学校3年生くらいから自分で作って食べたり家族に振る舞ったりしていました。卵焼きやチャーハン、唐揚げも自分で揚げていました。父親が調理師でよく仕事場に連れていってもらい、働く姿に影響を受けた部分も大きいです。多摩調への進学は、オープンキャンパスがきっかけです。当時テレビ番組で料理人がフューチャーされていたこともあり、中華の道に進みたいと考えていたところ、ちょうど中華担当の佐久間先生のデモンストレーションを目にしたんです。とにかくカッコ良くて。その場で先生に色々と質問をし、その人柄に触れ「この先生に教わりたい」と思い入学を決めました。
入学前は「和洋中すべてのジャンルは必要ない」と思っていましたが、授業を通じ和食には和食の、洋食には洋食の面白さがあって、すべてを学ぶことで視野が広がりました。多摩調の魅力を支えるのは先生。本当に面倒見が良いのです。最初に惹かれた佐久間先生とはいまだに付き合いがあり、何かあると必ず相談に乗ってもらっています。先生ご自身も調理の世界で上りつめた方なので、勤め人だった時も、店を持った時も、いつでも的確なアドバイスをくれるんです。「楽しいことを見つけるクセ」がついたのも先生のアドバイスがあったから。「立場や仕事内容の違いでやりがいは変わるので、常に見つける努力を」という言葉が心に刻まれています。
中国料理「信悦(しんゆえ)」オーナーシェフ/調理高度技術学科/2005年卒/原宿の老舗中国料理「南国酒家」や広尾「JASMINE」で腕を磨きながら、マネージメント業務を経験し独立。「これまで就職活動をしたことがない」という柿崎さん。転機はいつも多摩調の先生の紹介で、チャンスを掴んできたそう。「調理の世界は信頼関係でつながっています。人を大事に、また人に大事にされることも重要。今自分があるのは、面倒見の良い先生のおかげ。一生相談に乗ってもらうつもりです笑」。今後の目標は永くこの店を続けること。「スタッフのみんなにも楽しんでもらって、もちろんお客さんにも。この店を大事にしたいです」。