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ナタデココの形状制御で新しいセルロース素材をつくる!

物質応用化学科 准教授 星 徹
皆さんが一度は食べたことがあるナタデココは、酢酸菌が作り出すセルロースナノファイバーが網目構造を形成し、水で膨潤したヒドロゲルのことを言います。ナタデココは優れた生体適合性、湿潤性、高強度を示すことから、人工血管、歯科材料などの医療用途やプラスチックとの複合材料へ応用がなされています。私たちの研究室では、新しい形状として中空かつ球状のナタデココを作り出すことに成功しました。この中空球状ナタデココは、非常に薄いセルロースゲル膜で覆われており、ゲル膜を形成する網目サイズより小さい物質を中空体内部に充てんすることが可能です。また、ゲル膜を形成するセルロースナノファイバーを化学修飾することで、機能性中空球状ナタデココを作り出すことも可能です。例えば、低温では水に溶解しますが高温では不溶になる温度応答性高分子を修飾した中空球状ナタデココに薬物を充填すれば、温度で薬物の放出を制御できるドラッグキャリヤーとしての応用が期待されます。また、中空球状ナタデココは、網目サイズよりも大きな物質はゲル膜を透過させない特徴があり、もし中空体内部に細胞を入れることができると、生体適合性に優れた細胞のマイクロカプセル化ができるようになります。すでにインスリンを作り出す膵島細胞のマイクロカプセル化は、免疫抑制剤を使用しない移植が可能とされています。
 このようにナタデココの形状を制御することで、新たな応用が期待されるセルロース素材を作り出すことが可能です。しかしながら、中空球状ナタデココを大量に安定して作り出すことに最近成功したため、まだまだわからないことが多いです。基礎的なことから応用まで、皆さんも一緒にナタデココの可能性を引き出しませんか?
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