【現文講師・小柴大輔直伝】志望理由書&小論文対策!時事問題・現代社会を一冊でおさえよう

小論文や、総合型選抜・学校推薦型選抜の対策には読書がいいというけれど、実際どんな本を読んだらいいんだろう?

そんな人のために、スタディサプリで「現代文」と「小論文」を担当する小柴大輔先生が読書案内をしてくれるコーナーがスタート!

語りかけるように、おすすめの本を紹介してくれるよ。

小論文や総合型選抜・学校推薦型選抜対策に読んでおきたい参考図書
小柴大輔先生 プロフィール


Z会東大進学教室で講師を務めるほか、ロースクール(法科大学院)や司法試験受験の予備校においても一般教養小論文を指導している。
感覚ではなく論理的に答えを導く指導に定評があり、「現代文に対するイメージが変わった」と受験生から圧倒的な支持を集めている。
スタディサプリでは、現代文のほか、小論文や総合型選抜・学校推薦型選抜対策講座を担当。

入試に役に立つだけじゃない、魅力的な本をたくさん紹介

予備校の「現代文・小論文」の講師は、実は授業のためにテキストをつくる段階、予習する段階で数多くの入試問題になった文章・本を読む。

また模試作成や監修のためにも数多くの文章・本を読む。

おそらく大学の研究者や出版社の編集者と並んで、「最も〝仕事で本を読む〟職業」なんだそう。
「そのおかげで、私が大学や大学院で専攻していた「歴史学」や「哲学」関連以外の本もずいぶんたくさん読んできました。しかも私は趣味も読書なので、紹介したくなるようなすてきな本がいくつもあります」(小柴先生)
そんな小柴先生が、入試に役に立つだけじゃない、魅力的な本を紹介してくれるよ。

加えて毎月テーマを決めて、特におすすめのものや新しい本を紹介してもらうから、ぜひチェックしてみよう。
 

総合型選抜・学校推薦型選抜を考えているなら、「時事問題・現代社会」は必須!

今月は全学問分野共通の「時事問題・現代社会」を知る本がテーマです。

総合型選抜・学校推薦型選抜入試を考えているなら特に大事なテーマです。

「考古学科で旧石器時代の研究をするんだ」という人も「物理学科で素粒子や宇宙を探究したい」という人も、私たちが生きる現実の社会のできごとは、まずちゃんと知っておきましょう。

理由はたくさんあります。

まず、好きなことに熱中できるために、社会が平和であるほうがよく、格差や差別で就学や就業の機会を奪われることのないほうがよく、そういう方向に社会が向かっているか関心をもつことが大事だからです。

また、18歳になったら政治学科かどうかと関係なく投票の権利と社会に当事者意識をもって参加する、ある種の責任が生じるからです。

さらに、どんな学問分野でも現代社会とのつながりがあります。先の例で言えば、現代社会に関心も知識もない人が、旧石器時代の人と暮らしに興味をもち、何かを解明することができるとは思えません。

宇宙の探究にしても、「それが現代社会や人間に何の役に立つのか。お金の無駄ではないか」という問いかけに対し、反論を返し研究予算を獲得するうえでも現代社会に関する教養が必要です。

逆に、まだやりたいことがわからないという人にとっても、現代社会を知ることが自分の興味分野を発見する手掛かりになるかもしれません。

なおネットのおまとめニュースサイトの類は、使い込むほどカタヨリが生じますから注意が必要です。

ファクト・チェックがまるっきりない情報もあります。

気づかないまま自分の常識が狭く固定されてしまうリスクありです。

これは教養とは反対の方向です。

使ってはいけないというわけではありませんが、紙の新聞や書籍と合わせて利用しましょう。

「時事問題・現代社会」を知るための本

時事問題・現代社会を知る本

A:『朝日キーワード20XX』(朝日新聞社・約280ページ)

まず手に取るなら、バランスが良い一冊。

30年以上の長きにわたり、毎年出版されている時事問題ダイジェストです(それでタイトルが変わるため、XXと表示しています/以下同)。

最新1年分のニュース総まとめの本です。

新聞に政治面・経済面・スポーツ面・芸能文化面・科学面があるように人間活動のもろもろを収めています。

1テーマあたり2ページ読み切り。それぞれ担当の新聞記者が書いています(記名入り)。

ほぼ毎ページに写真や統計資料あり。以下の類書と比べても最もバランスが良い一冊です。

まずは関心のある分野から目を通しましょう。
類書1:『日経キーワードXX年~XX年』(日経HR編集部・約330ページ)
こちらは経済中心で、ニュースダイジェストというより淡々と経済関連キーワードの解説が続いていく感じ。

イラストや図表は少なめ。大学生や社会人向けの本です。
類書2:『XX年度対応 最新時事用語&問題』(新聞ダイジェスト社・約160ページ)
その名も「新聞ダイジェスト社」が半年ごとに出版する時事キーワード集です。

全ページに図解や統計あり。
類書3:『XX年度版 図解 まるわかり 時事用語』(新星出版社・約160ページ)
文字解説スペースより写真・図版・統計スペースのほうが大きく、タイトルのイメージどおりです。

B:『現代社会100面相 第3版』(鎌田慧著・岩波書店・約200ページ)

興味のもてるページからでOK。 Aで紹介した本が、記者をはじめ大勢でつくっているのに対し、こちらは社会派ジャーナリスト鎌田氏が一人で書いています。

現代社会の100の顔の解説で、1テーマ2ページ読み切りです。

興味のもてるページから(だけ)読んでもOKです。

これまで3回、内容をアップデートしていますが、最新のニュース解説ではなく、戦後日本社会を考えるときのキーワードの説明です。

C『術語集 Ⅱ』(中村雄二郎著・岩波書店・約200ページ)

抽象的で難しいことをわかりやすく印象的に。

こちらは戦後日本を代表する哲学者の手による、現代社会を理解するための用語集です。

例「安楽死・人工知能・フェミニズム・ボーダーレス・イスラム・バーチャルリアリティ」など。

1テーマ4ページ読み切り。

どこからでも読めます。

哲学者の書いた本というと難しそうと身構えるかもしれませんが、中村氏は抽象的で難しいことをわかりやすく印象的に語れる人ですから大丈夫です。
 
 

現代語用語集

『読み解くための現代文単語』(小柴大輔編著・シグマベスト文英堂2016年・収録語数約1500語・イラスト200点)

語彙力をつければ、読解力がグッとアップ。

自分の本の紹介で恐縮ですが、こちらはニュースのキーワード解説ではなく、文章理解のためのキーワード解説です。

論説・評論用語と小説用語のバランス、説明とイラストのバランス、例文と確認テストのバランスを考えて制作しました。

抽象ことばは図解するとわかりやすいので、そうしたイラスト類が200点(!)も入っています。

語彙力がつくと、グッと読解力が上がりますよ。
類書:
類書に

『新現代文単語』(夏苅一裕・三浦武編著・いいずな書店・収録語約1600語)

『読解を深める現代文単語』(晴山亨・立川芳雄・菊川智子・川野一幸著・桐原書店・収録語約1000語)

『語彙力と読解力をつける現代文単語』(数研出版・収録語数の記載なし)

『イラストとネットワーキングで覚える現代文単語』(伊原勇一・土井諭・柴田隆行著・いいずな書店・収録語約1300語)

『現代文 キーワード読解』(Z会出版・必修語160語+テーマ解説)

などがあります。

学校で配布されているものがあるなら、コツコツ読み進めましょう。

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