文学部とは?学べること、身につく力は?ゼミ・授業・就職先を先輩に聞きました!
文学部というと、日本文学やイギリス文学などのいわゆる「文学」を学ぶものと思っていない?実はひとくちに文学部といってもその範囲は、地理に歴史、心理学や宗教学、人間科学など、とても広いのだ。
今回はそんな「文学部」について、何が学べるのか、どんなスキルを身につけることができるのか、就職先にはどんなものがあるのか、進学にあたり気になることを説明する。
好きな分野があるけど、どこで学べるのかがわからないという人にも必見だ。
目次
小林尚(こばやし・しょう)先生
個別指導塾CASTDICE塾長/キャストダイス代表取締役/「CASTDICE TV」運営・教育系YouTuber
1989年生まれ。埼玉県出身。高校受験で開成高等学校に入学し、弁論部キャプテンとして活動。
現役で東京大学文科一類に入学。同大学法学部卒業後、経営コンサルティング会社の戦略部門を経て、株式会社キャストダイスを設立。
2020年には個別指導塾CASTDICEを立ち上げ、塾長に就任。
先取り・勉強量を重視した独自の指導法で受験生をサポートしている。
著書に『開成・東大卒が教える 大学受験 「情報戦」を制して合格する勉強法』(KADOKAWA)などがある。
文学部とは
人間にかかわるさまざまな分野が研究対象となる
文学部を簡単に言うと、哲学、歴史、文学、芸術など、さまざまな分野の人文科学だ。人間がこれまでの歴史のなかで作り上げてきた文化について研究対象を探索し、多様な視点から研究する。
人文学ではほかにも、宗教学、地理学、歴史学、考古学、言語学などがあり、最近ではメディア学や人間科学も注目されている分野だ。
かなり広い範囲を学ぶ学部で、文学だけではなく言語学、歴史学、哲学、宗教学、行動科学など、人間に関するありとあらゆる分野を学びます。
その内容は非常に幅広く、かつ専門性の高い学部です。
文学部で学ぶこと、身につく力
文学部で学び研究することで、どんなことが身につくのだろう。具体的に見てみよう。文学・言語系
日本や海外の文学を通して、文化や歴史、思想や社会を学ぶ。ただ読むのではなく、文学から「人間の営みとは何か」を読み解き研究する学問だ。
海外の文学を学ぶ場合は、その国の言語の理解も必要なため、外国語の授業も多い。
読み解く力や語学力を身につけることができる学科だ。
心理・思想系
心理学や哲学、宗教学などを学ぶ。人がなぜそう思うのか、なぜ生きるのか、なぜ存在するのかなど、その研究対象はさまざまで、「人間とは何か」を存分に探求できる学科だ。
また、宗教学では世界中の宗教から、思想や社会、歴史を学ぶ。
宗教には、例えばルネサンスの宗教画など美術が関連することも多く、芸術の視点から宗教の発展や歴史を読み解く分野も。
人間の行動を科学的に分析して法則性をみつける「行動科学」も、最近注目されている学科だ。
歴史・地理学系
各国の歴史やその歴史から学べること、地形や気候、地域の文化や特性などを学ぶ。現地に赴いての調査などフィールドワークも多い学科だ。
大学では資料の読み方や分析のしかたを学び、研究対象をみつけ探求する。
高校生までの歴史や地理の授業よりも、さらに主体的に創造的に学ぶことが可能だ。
例えば、資料や論文を読んで新しい視点をみつけたり分析したりすることで、読解力を身につけることができます。
また、文学部は、他の学問と比較して明確な答えがない分野でもあります。
歴史や文学を読み解き得られた発見が、多様な解釈の可能性を生むこともあります。
そういった場合、これまでの視点と別の方向から仮説を立てて考えるなど、思考力も鍛えられます。
従って、自分の研究を論文にまとめて伝えるなど、論理的な説明力や表現力が求められます。
自分の研究を発表したり、ほかの学生とディスカッションしたりするなかで、コミュニケーション能力も磨かれていくでしょう。
幅広い能力と探求心のスキルは文学部の強みであり、そのような力をもった学生は、社会に出てからも即戦力となります。
文学部の主な学科・分野と概要
専門性が高い学科が多く分野も幅広い
多様な視点から人間の根源を探求する文学部。具体的な学科にはどのようなものがあり、何を学ぶのか見てみよう。
また、どんな人におすすめか小林先生に聞いてみたのでぜひ参考にしてほしい。
地理学科
地形や気候など自然環境を研究する「自然地理」、歴史、文化、政治、経済などから地域の特性や問題点を探る「人文地理」、特定地域の地理を総合的に研究する「地誌」の3分野がある。フィールドワークを重視し、現地調査が多いのが特徴。
防災、都市計画、環境問題なども研究分野だ。
人文地理と地誌は文学部や教育学部で学べるが、自然地理を学ぶ学科は理学部にも設置されている。
● 災害に強い都市づくりを実現したい
● 地域ならではの活性化策を考えたい
● 高層ビルや橋などの建設に携わりたい
● 発展途上国での開発協力に興味がある
史学科
政治、経済、戦争、文明・文化、発明・発見などあらゆる歴史的なできごとについて、どのように起こり、どのような意味をもつのかを史料や現地調査などで解明していく。日本史、東洋史、西洋史の3分野があり、さらに政治史、経済史、文化史、宗教史などのテーマ別研究がある。
文献資料をもとに解明する歴史学に対し、考古学は遺跡や出土品などの分析・研究でフィールドワークも多い。
中国以外のアジア、アフリカ、南米などの国々の歴史を学びたい場合は、大学に専門の教員がいるかを確認しよう。
● 学芸員になって、博物館や美術館で働きたい
● 中学・高校で歴史のおもしろさを教えたい
● 文化財の保存や修復に携わりたい
● 解き明かしたい歴史の謎がある
文学科
文学作品を通して、その国の文化や時代背景、作者の思想を探る。国文学(日本文学)、外国語文学(英米・フランス・ロシアなど)、児童文学などに分かれており、文化や歴史、哲学なども学ぶ。
演劇や映画、アニメーションなどが研究対象となることも。
卒業制作として文芸作品を創作する大学もある。
外国文学なら作品が書かれた言語の習得も必要。
古文や漢文の知識、作品によっては古代英語や古代ギリシャ語なども学ぶ。
興味・関心のある時代や国などを専門分野としている教員が大学にいるかをしっかりチェックしよう。
● 中学・高校で国語の先生になりたい
● 外国の文学・文芸作品に関心がある
● 小説・エッセー・評論などすでに書きたいことがある
● 新聞記者、編集者、コピーライター、アナウンサーなど「言葉」にかかわる仕事がしたい
外国文学について詳しく知る
哲学科
哲学者の考えや哲学の歴史を学び、「人間とは?」という根源的な問題を自分なりに考える。大きく西洋哲学や東洋哲学、美学美術史を学ぶ「哲学系」と、仏教学、キリスト教学、宗教学などを学ぶ「宗教系」に分かれる。
いずれも研究を通し、論理的な思考力、多様な価値観を理解する力を養う。
生命倫理や環境倫理、宗教紛争など現代的な研究テーマを取り扱う大学もある。
西洋哲学やキリスト教学などでは原書講読の授業があるため、語学の講義もとり、ある程度語学力をつける必要がある。
● そもそもと、根源的な部分から人間について考えてみたい
● 美術館や博物館の学芸員になりたい
● 人間の思想の歴史を紐解き、自分でも考察してみたい
● 論理的に考える力、客観的な判断力を磨きたい
心理学科
人の心や行動のメカニズムを科学的に研究。心の問題を解決するカウンセリング法を学ぶ。
「臨床心理学」をはじめ、発達心理学、社会心理学、犯罪心理学など研究領域は多岐にわたっている。
心理実験を行い、その結果をコンピュータで分析する実習などもあり、数学的素養・センスも必要だ。
認定心理士など大学卒業時に取得できる資格に対応した大学も多い。
公認心理師や臨床心理士などの心理系資格は、大学・ 大学院で所定のカリキュラムを修了して受験資格が得られる。
● 心理カウンセラー・臨床心理士になりたい
● 家庭裁判所調査官や児童心理司など心理系職の公務員を目指している
● 人の心ほど不思議で興味深いものはないと思う
人間科学科
「人間とは何か」について、文系・理系両方の分野から、多角的・総合的に考える。哲学、心理学、文化人類学、社会学、教育学、法学、そして生命科学や人工知能など、さまざまな学問からのアプローチが可能。
文献調査、実験、フィールドワークなど、テーマによってさまざまな研究手法を用いる。
人間環境学科、人間発達学科など特色ある学科も多く、扱うテーマが多様なので、教育内容やカリキュラムをしっかり確認しよう。
● 新商品などの販売戦略を考える仕事がしたい
● 企業戦略を考えるコンサルタントとして活躍したい
● 人間の心理や行動に関心がある
● 福祉の仕事に携わり、困っている人を助けたい
文学部の先輩に聞いた! 文学部を選んだわけ
将来空港業界で働きたいと考えていたため、志望いたしました。非常に迷ったのですが、頑張って決めました。(文学部英文学科、21歳、東京都)
国語の教員免許を取りたかったから。そして、古文が好きだったのでそれを深く学べる学部だったので決めた。(文学部日本文学文化学科、19歳、東京都)
【学問として興味があった】
イギリスやアメリカの文化や文学、英語という言語そのものに興味があったため、文学部で英米文学を勉強したいと高校生のころから考えていた。(文学部英米文学専攻、21歳、埼玉県)
中学、高校の時から歴史が好きで、特に寺や神社といった建築物に興味があり歴史遺産を学べる学科にした。(文学部歴史遺産学科、20歳、京都府)
【就職に役立つと思った】
中学生のころから英語が好きで、具体的な将来の夢は決まっていないが英語を使う仕事をしたい、もっと英語を話せるようになりたいと思ったから。(文学部英語英文学科、20歳、岡山県)
純粋に幼稚園一種と保育士の免許を地元で取りたくて選んだ。就職率も良い。(文学部児童教育学科、21歳、岩手県)
文学部の雰囲気は?
アニメやマンガ好きな人が多い。落ち着いて大人しく真面目な人が多い。(人文学部日本文学文化学科、19歳、宮城県)
落ち着いていてまじめな人と、その逆が半々くらい。イメージよりは女子学生も多く、物々しい雰囲気も感じない。軽く議論を振れば乗ってくれる人は多いので、社会に対する問題意識があり、ほかの視野を取り入れたい人におすすめ。(文学部哲学科、19歳、京都府)
とにかく女子が多い学科。帰国子女やさまざまなルーツを持つ人も多いので、特に学科科目の英語で行われる講義を履修すると、ここは日本なのかと疑うような風景になる。中学・高等学校の英語教師の資格も取れる。(文学部英米文学科、20歳、東京都)
所属している学群は、ネイティブの授業が多いため、周りの人と助け合って英語で色々なことを学んでいるところが特徴。男女比はほぼ半分ずつ。英語でも日本語でも、コミュニケーション能力を高めたいと考えている人におすすめ。(グローバルコミュニケーション学科、18歳、北海道)
文学部の授業・ゼミの内容
専門性の高さゆえに、授業は少人数であることも
実際にどんな勉強をしているのか、その内容を聞いてみたよ。文学部の先輩に聞いたおすすめの授業・ゼミは?
日本文芸学概論。1年間で12人の先生が授業を行う。それぞれの研究を浅く紹介するためまだどの研究をしようか悩んでいる人にオススメ。(文学部日本文学科、19歳、東京都)
ジェンダー系の講義は特におもしろく感じる。同性愛者の先生が講義をしてくれたりするため、よりリアリティのあるものを受けられる。(文芸学部メディア領域、20歳、茨城県)
アジア・オセアニアの地理A/B。地域の自然地理と社会地理について知れるだけでなく、東南アジアと日本の関係、資本主義経済のしくみについても学ぶことができる。(人文学部文化学科、22歳、三重県)
日本美術史。戦争画について学べるし、大正時代に描かれた油絵について学べるのは美術史だけなので、そこもまたおもしろい。(文学部史学科、20歳、東京都)
英語学概論の授業がおもしろい。英語を学ぶうえで今まであまり意識していなかった主語、目的語などの具体的な文字役割は特に興味があって楽しく学べることができたし、統語論についての授業は難しく苦戦しましたが、新しいことを学ぶ楽しさを感じることができます。(文学部英語英文学科、19歳、岡山県)
マンガ文化論という授業が非常におもしろい。少女マンガや少年マンガの歴史や、レジェンドマンガ家の作品、最近の作品にも触れる。また、実写映画についても論じることがある。この授業を受けると普段のマンガの読み方が変わること間違いなし!(文化構想学部、19歳、千葉県)
文学部の楽しいこととつらいこと
学外授業が多く、実際に寺や神社を訪れて見学などすることが多いので楽しい。(文学部歴史遺産学科、20歳、京都府)
演習発表をする授業は正直負担になる。与えられたテーマについて深いところまで研究し、それに関する自分の意見や見解をまとめる必要があるので、発表前はかなり忙しくなる。(文学部国文学科、21歳、神奈川県)
ペアワークやグループディスカッションで、クラスメイトと話し合って相談するのが楽しい。大変なことは、英米文学入門の授業。テストで評価が決まるため、対策をしっかりしないと大変。(文学言語学科、18歳、兵庫県)
外に出て野外実習や巡検を行うことがあります。巡検では普段行かない場所のことを詳しく知ることができ、疲れることが多いですが、とても楽しいです。(地球環境科学部地理学科、22歳、埼玉県)
文学部で目指せる主な資格
文学部から専門性を生かして教員を目指す学生は多い
文学部で目指せる資格は、多様な分野の学問でもあることから取得できる資格もさまざまだ。大学のカリキュラムや就職先の状況によっても変わるので、自分が目指したい職業に必要な資格が取得できるのかもチェックしよう。
教員免許
大学のカリキュラムにもよるが、多くの文学部で教員免許を取得することが可能だ。卒業後の就職先でも、文学科や史学科、地理学、哲学科などでは、教員免許を取得して中学・高校の教員となる人も多い。
教員免許を取得するには、教員免許に対応した教職課程がある大学・短期大学等で科目や単位を修得する必要がある。
博物館などの学芸員
学芸員とは博物館資料の収集、保管、展示や調査研究などを行う、博物館の専門的職員。学芸員資格は、学芸員養成課程開講大学に指定された大学で単位を履修するか、文部科学省の資格認定試験に合格する必要がある。
学芸員を目指すのであれば、文学部のなかでも養成課程がある大学を選ぼう。
図書館司書
図書館司書とは、公立、私立の図書館や研究書などで、図書資料の選択、発注から、分類、目録作成、貸出業務、読書案内等を行う専門的職員。取得するためには、大学・短期大学で司書資格取得に必要な科目を履修する方法がある。
司書を目指すのなら、司書資格に対応した大学・短期大学と学科をチェックしよう。
臨床心理士
カウンセラーや心理判定などを行う臨床心理士の資格取得は、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験に合格することが必要だ。この試験には、指定大学院(第1種・第2種)、または専門職大学院の修了が条件となっている。
文学部で人気の就職先
出版や広告は人気の業界だ
「文学部出身は就職が難しい」とは本当だろうか?実はこれは誤解。
文学部では多彩な学びがあることから、就職先も、教員をはじめ、金融業や保険業、情報通信業、製造業、運輸業など多種多様だ。
出版業界
文学科に進んだ人は読書が好きという人も多く、卒業後は雑誌や書籍にかかわる仕事を希望することも。最近では紙媒体だけではなく、インターネットメディアなども人気。
専門分野の知識だけではなく、読まれるコンテンツとはどんなものか、売れるための言葉はどう選ぶかなど、人文学の知識を発揮できる職場だ。
広告業界
効果のある広告を打つためには、人の気持ちに働きかけることが重要。さらに、効果検証するためにはデータを分析して改善策を練る必要がある。
心理学や人間科学など、人がどう行動するのか、何に感情が動くのかなど、論理的に対応できる知識と能力が求められる職場だ。
金融業界
多くの大学生に人気の業界。経済学部や経営学科の学生にも人気があり、文学部出身では分が悪いと感じるかもしれないが、経済は歴史や思想が大いに関係してくる分野だ。
現在の経済状況の根本の課題はどこにあるのか、今後はどうなると予測できるのかなど、さまざまな視点から検証できるのが文学部の強みとなるだろう。
教員・公務員
文学部のなかには教育について学ぶ学科もあり、教員を目指し、実際に公立の中学や高校の教職に就く人も多い。また、公務員にはさまざまな仕事があり、特に地方創生や環境問題、まちづくりや防災などの分野には専門知識が必要だ。
このため自治体が推進する事業によっては大学と連携する場合も多く、職員にも知識がなければ業務を進めていくことは難しいだろう。
さらに地域住民への行動を促すための施策づくりや認知度の向上などを推進するためにも、人間科学や地理学、心理学など多様な視点が求められている。
文学部の先輩に人気の就職先
文学部の先輩たちにも、人気の就職先を聞いてみた。地方公務員を目指している。行政の立場からさまざまな社会問題に取り組みたい。(文学部日本文学科、19歳、東京都)
教育系の企業に勤めたい。現場では変えられない根本的なところを変えていけたら良いなと思う。(文学言語学科、22歳、福井県)
出版社もしくは作家。(文学部人文科学科映像・現代文化論研究室、22歳、北海道)
英語の教師になりたいです。中学の英語の先生にあこがれたということと、英語が使える仕事に就きたいと思っているからです。(文学部英文学科、21歳、宮城県)
卒業後は、客室乗務員の仕事に就く予定です。中学生の時から海外に興味をもち、留学をした経験を生かして、海外とかかわる仕事に就きたいと思いました。(文学部国際英語学科、22歳、東京都)
Webメディアなどのライターをしたいと考えている。文章を読むこと、書くことが好きなのに加えて、自分が好きになったものを、記事を通じて多くの人に紹介し、共有したいと思うからだ。(文学部哲学科、19歳、京都府)
正規職員の司書を目指している。理由は司書という職種を通して多くの人に本のおもしろさ、重要さを知ってほしいから。(学芸学部日本文学科、22歳、宮城県)
むしろ、文学部出身の学生は専門分野に加え、その分野に関連する知識も習得し、資料やデータを分析するための数学的な思考も持ち合わせていることが多く、まさに企業が求めるマルチな能力をもつ人材です。
文学部では大学院に進学したり研究員を目指したりなど就職以外の進路を選択する人も多く、これが就職に弱いと誤解されている要因かもしれません。
最近ではマーケティング分野の就職も人気で、それに合わせて人間科学や行動科学などの学科の人気も上昇しています。
文学部に向いている人
好きなことをとことん突き詰められる人が向いている学部
文学部は、好きなことがはっきりしている人、人間について探求心の強い人に向いている学部だ。国語や英語、社会の授業で、「なぜそうなるのか」「この時代、海外では何が起こっていたのか」「背景にはどんな社会や思想があったのか」など疑問や興味をもったことは、文学部で研究することで解明できるかもしれない。
そして、その謎を解く経緯を楽しめる人は、文学部での勉強をよりおもしろく進めていけるだろう。
文学部は、答えが明確な教科書があるわけではなく、先人の資料や作品、思想を自分で調べて吸収して、新たなものをみつけ探求する学問です。
実際に体験したり外に出て調査したりなど、フィールドワークが多いことも特長です。
知的好奇心が旺盛で、興味をもったもののすべてを知りたい!と、どんどん自分から調べていける人が向いていますし、楽しく学ぶことができるでしょう。
文学部の学費
希望する大学に必要な学費も調べておこう
進学先を選択する際には、学費もチェックしておきたい。国立・公立・私立の違いに加え、大学の学部や学科によっても違ってくるので、目安となる金額を調べておこう。
★大学の学費はいくら?受験料、入学料、授業料を分野別にみてみよう
文学部を目指す高校生へ
他の学部と比較して学べる範囲は非常に広く、学ぶことの楽しさを存分に経験できる、魅力的な学部です。
また、文学部の領域は広く深いため、その専門分野の先生は限られています。
なので、そのゼミに入ることで第一人者の先生から学びコミュニケーションが取れる可能性も高くなります。
専門の、しかも第一人者の先生の下で、学びを突き詰めて、新しい世界を見ることができるのです。
この醍醐味をものにするためにも、自分が好きな領域を学ぶことができるのか、先生が何の専門なのかなど、しっかり調べたうえで志望校を決定しましょう。
また、大学を選ぶ際には、その大学の歴史も視野に入れることが大切です。
歴史がある大学は、所蔵している資料の数も膨大です。
自分が調べたい分野の資料がそろっているのかも、重要なチェックポイントとなります。
最後に、高校生の皆さんには、ぜひ好きなこと、やりたいことを中心に大学を選んでほしいと思います。
大学は、自分の学びたいことを学ぶ場所であり、それが結局一番楽しいのです。
文学部で、皆さんの「好き」を突き詰めてください。
取材・文/櫻庭由紀子 取材協力・監修/小林尚 構成/寺崎彩乃(本誌)
※掲載している情報は、2022年10月時点でのものです。
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