学外の様々なコンペティションや建築プロジェクトに参加するという経験を積みながら、実践のなかで“建築の基礎体力”を育んでいます。どんなに秀逸な建築デザインを頭のなかに描けたとしても、社会に対してどう機能するかという考察がなされていなければ意味がない。例えば私が設計した熊本駅西口駅前広場では、「駅前広場とは何か」を再考しました。多くの自動車が巡回するロータリーをスクリーンで区切り、そこに各種サインを集約して看板類をなくすことで空間を有効に活用。子どもから高齢者の方までが安心・安全に集える、半屋外の公園のような空間をつくることができました。「形」や「空間」を創造することで、人や社会に新たな価値観を提示するのが建築の大きな役割です。そうした建築の可能性を、学生とともに探究していきたいと考えています。
自ら建築設計事務所を主宰している佐藤先生は、建築設計関連の賞を多数受賞している気鋭の建築家です。研究室では、現代建築の第一線で活躍する実務家としての視点を活かした指導を実施。学生は学外の様々なプロジェクトに参加して数々の賞を獲得し、竣工に至った建物もあります。また国内外の建築物、集落、遺跡などの建造物を見学することも盛んに行っています。東日本大震災の復興支援活動も6年以上継続して行ってきました。そうした指導方針から、学内外の研究者や専門分野外のネットワークも広く、多様な知見を育むことができます。
「建築を学ぶということは、歴史や社会を識り未来をデザインすることである」と私は考えます。それほど多岐にわたる知見を得る必要がある学問分野ですが、逆にどんなことからでも建築を考えることができるのです。
専門:建築計画、建築設計
略歴:1986年、日本大学理工学部建築学科卒業。1986年~1992年、伊東豊雄建築設計事務所に勤務。1993年、佐藤光彦建築設計事務所設立。名古屋市立大学芸術工学研究科助教授等を経て、2006年、日本大学理工学部建築学科教授に就任。設計関連の多数の賞を受賞し、その実力は国内外で注目されている。