江戸時代享保年間、肥前国松浦藩の宮大工棟梁として初代創業以来、北部九州を中心に、社寺の修復や新築に代々従事してきた木造の寺院神社建築専門の設計施工会社の代表取締役として寺院神社建築の設計・積算・営業・現場管理などを行っています。先人が建てて大切に守ってこられた築100年・200年前の建物が、自らの調査や計画、設計によって修理を施し美しく蘇り、お施主様に満足のお言葉をいただいたときはとても感激します。私たちは日本独自の建築を扱っていますが、自国はもとより、世界の文化や歴史、ルーツを知ることに努め、お施主様と社会にとって最善の判断をし、美しく良い建築技術と文化を残して引き継いでいくことを心掛けています。
幼い頃から工作やもの造りに興味があり、高校時代は自由度の高い現代建築に憧れていました。しかしながら、日本の建築文化に触れていくうちに歴史ある社寺建築の家業の素晴らしさに気づき、素晴らしい日本の建築文化を末永く継承していきたいと思い宮大工の世界に入りました。今後は、ただ建物を建てたり修理するだけでなく、昔からの技術を守り続けると同時に新たな価値を創造し、社会の財産となるべき街並みや文化に貢献していけたらと考えています。また、素晴らしい日本の建築文化を末永く継承していくために、一人でも多くの後進を育てていきたいと思います。
京都という街で、木造や茶室といった伝統に重きを置いた特色あるカリキュラムを学べるという点がとても魅力的でした。京都の技師として文化財の修復をされてきた経験を持つ当時の三上校長の日本建築史の授業で得た知識と経験は、今の仕事に直接活きています。また、クラスの中には大学卒業者、社会人経験者など、年齢も出身地も価値観も様々な学生がいて、刺激的な環境の中で広い視野と感性を身につけることができたと思います。知識・価値観を広げるために、お寺や神社など京都の多くの建築を見て廻ったことにより、深い歴史の空気感を肌で感じることができたのも良い思い出になっています。
有限会社大浦社寺建築社 勤務 代表取締役/建築科/2002年卒/木造の寺院神社建築専門の設計施工会社を営んでいる一級建築士の大浦さん。学生時代の春休みや夏休みには、数週間タイやインドなどに一人旅へ。「多様な文化に触れることで、自国の文化を見つめ直すことができました。色々な世代や価値観の人と接して、偏見を解き広い視野を得ることが大事です。自分のなかの興味や好奇心を大切にしてください。」と語ってくれました。