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電車運転士の20年後、30年後はどうなる?

電車運転士の20年後、30年後はどうなる?

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電車運転士の仕事はAIの進化により何か影響を受けることはあるのでしょうか。すでにいくつかの路線では「自動運転」を導入しているところもありますが、今後すべての業務を人間に代わり機械が行うことは可能なのでしょうか。20年後、30年後に電車運転士の仕事を見てみましょう。

ワンマン運転が主流になるなど、自動運転技術の発達で車掌は不要に

未来の電車運転士イラスト
未来の電車運転士イラスト

近年は、多くの路線の電車でワンマン運転が採用されつつあり、自動運転も主流になってきていますので車掌の業務は今後確実に必要がなくなってくると考えています。車掌の仕事はアナウンス・後方からの安全確認・ドアの開閉などですが、自動放送が主流になり、さらにホームドアが普及することにより後方の安全確認が駅の業務に移り変わり、自動運転による運転士の業務負担が軽減、そしてゆくゆくは車掌が不要になることが予想されます。
また、運転士の業務も自動運転の導入により「人でなければならない」部分がどんどん減ってきていることから、ゆくゆくは消えるかもしれません。
AIのような機械にできる業務はほかにも考えられます。例えば、その路線が運行するエリアのイベントなどの開催情報、周辺の観光案内などを、季節ごとにあらかじめ設定しておきアナウンスすることや、時にはその電車の乗車率に応じて注意喚起やお声かけなどのアナウンスをすることなどは、今すぐにでも可能な技術です。さらに、乗客一人ひとりへのお得な切符の情報提供なども可能ですよね。電車の遅延や運転見合わせなどが起きてしまい、利用できなくなってしまった路線があるときに、リアルタイムで「どの公共交通機関を利用するべきか、そのためにはどこの出口からどのように乗り換えをすればいいのか」をお伝えすることも現在は人間が行っていますが、将来的には個別にAIが対応できる時代がくるのではないでしょうか。

サービスやおもてなしの部分はまだまだ人間にしかできない

それでも、サービスに関しては、人間にしかできないこともたくさんあると思います。乗り換えの方法を乗客から聞かれたときに、その方が荷物をたくさん持っていたり、高齢だったりした場合には「荷物をお持ちのようなので、この車両に乗れば降りる駅でエレベーターが近くにありますよ」というお声かけをするようにしています。
さらに「運賃が安いのはAという駅で乗り換えるルートですが、乗り換えがいらないのはこのルートですよ」とその方の本当のニーズに合わせたご提案ができるのは人間ならではでしょう。
もちろん、あらかじめ設定しておくことでさまざまなルートの提案をすることは機械にも可能ですが、その提案をさせるためには、まず人間が「今私はとても重い荷物を持っています」とか「乗り換えはしたくありません」といった情報を機械側に提供しなければなりません。
そのため、先回りしてお声かけができるのはまだまだ人間にしかできないことだと思います。
さらに、車内のアナウンスについては多くの路線で自動アナウンスが採用されつつありますが、私は人間らしい声色がとても大事なのではと考えています。「本日は電車が遅れましてまことに申し訳ございません」という言葉と「本日もご乗車いただきましてまことにありがとうございます」を平坦に同じ声色で話してしまうと、聞いている人は感情を感じることができません。「ごめんなさい」と伝えるときにはしっかりと謝罪の気持ちを込める。また、「ご乗車ありがとうございます」と伝えるときには「皆さんがスムーズに乗車してくれたから、定時での運行ができています」という気持ちを込めることで、お客さまの感じ方はまったく異なると思うからです。

取材協力

井上 直樹(電車運転士)

1984年愛媛県松山市出身。専門学校卒業後、駅員として都内の鉄道会社に入社。 甲種電気車操縦者運転免許を取得し、運転士を10年勤める。 人事異動で駅員に戻り、現在駅長としても勤務している。 また鉄道会社に勤務する人達と共に勉強会を開催している。

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