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義肢装具士と名乗り、患者さんとコミュニケーションを図るためには、義肢装具士国家試験に合格する必要があります。
義肢装具士資格は1987年の義肢装具士法成立とともに誕生した比較的新しい国家資格であり、社会的な認知度もまだ高いとは言えないため、同じく国家資格が必要な理学療法士や作業療法士と比べて、有資格者は不足している状態です。受験者数もここ数年でやっと200人台に達した程度ですが、合格率は例年80~90%台と高い水準で推移しています。
ただしこの結果は、義肢装具士になるという確固たる信念をもって勉強を続けてきた人のみが受験しているという背景があるからだと考えられます。
義肢装具士国家試験(年1回実施)
義肢装具士の国家試験受験資格は、義肢装具士法(第14条)に定められており、試験の実施は厚生労働大臣の指定を受けた指定試験機関として、公益財団法人テクノエイド協会が行っています。なお、義肢装具士となるには試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければなりません。
≪受験資格≫
1)大学に入学することができる者で文部科学大臣が指定した大学または厚生労働大臣が指定した義肢装具士養成所で3年以上義肢装具士としての知識および技能を修得した者
2)大学、高等専門学校または厚生労働大臣が定める学校もしくは養成所で1年(高専は4年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者で、養成所において2年以上義肢装具士として知識、技能を修得した者
3)職業能力開発促進法の規定に基づく義肢、装具の製作に係る技能検定合格者で養成所において1年以上義肢装具士として知識、技能を修得した者
≪試験内容≫
臨床医学大要(臨床神経学、整形外科学、リハビリテーション医学、理学療法・作業療法、臨床心理学および関係法規を含む)、義肢装具工学(図学・製図学、機構学、制御工学、システム工学およびリハビリテーション工学)、義肢装具材料学(義肢装具材料力学を含む)、義肢装具生体力学、義肢装具採型・採寸学および義肢装具適合学
≪試験地≫
東京
◇合格率:87.0%(第30回/2017年実施)
受験者数:254人、合格者数:221人
※参照:公益財団法人テクノエイド協会 義肢装具士情報
受験者数は少なく、合格率は高い
1987年に義肢装具士法が制定され、国家試験が設けられてからこれまで、計30回の義肢装具士国家試験が行われています。第1回~30回までの試験合格者の合計は5125名。受験者数は2012~2017年にかけて220~270名の間を推移しており、ほかの国家資格と比較すると受験者数も合格者数も少ないと言えます。
一方、合格率は高い水準を保っているのも特徴です。現場で働く義肢装具士によると、義肢装具士は養成施設に入学しながらも途中で辞めてしまう人が非常に多いそうです。つまり、学校で学び通し、受験資格を得る人というのは、情熱をもって義肢装具士を志している人がほとんどであり、それが合格率の高さにつながっていることがうかがえます。
合格者は一人ひとり、業界のパイオニアとして義肢装具界をリードしていく存在になるでしょう。
そのほかにあると便利な資格
○理学療法士
病気や怪我で不自由になった患者さんの基本的な運動機能を回復させる「理学療法士」として働くために必須な国家資格です。
理学療法士は治療体操、電気療法、マッサージ療法などを用いるほか、義手や義足、車椅子などの義肢装具に関する訓練も主導して行います。働く場所は病院や介護施設のほか、最近ではスポーツ分野でも存在が注目されています。
理学療法士の国家資格を取得するためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設で3年以上学び、国家試験を受験・合格する必要があります。
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