作業療法士は、脳梗塞で指先が動きにくくなったり、骨折で手首を動かしにくくなったりと、様々な理由で日常生活をうまく送れなくなった方の、日常動作のリハビリテーションを担当する医療職です。患者さんが大事にしていることは一人ひとり違いますから、患者さんの想いに合わせたリハビリを考えて関われることが、この仕事の魅力です。例えば、楽器の演奏や編み物といった患者さんの趣味を使ってリハビリすることもあります。今までできていたことができなくなって落ち込んでいた患者さんが「ひとりでトイレに行けるようになった」「ギターを始めることができた」と笑顔で伝えてくださると、この仕事をやっていてよかったと感じます。
中学生の頃、部活でバスケットボールをやっていました。肩の脱臼で部活に参加できなくなり、精神的につらかった時に、医療従事者の方が「いまはつらいけれど、頑張ろう」と優しく声をかけてくださり、すごく励みになりました。それがきっかけで医療に携わる仕事に就きたいと思い、高校3年生の時に新潟医療福祉大学のオープンキャンパスに参加しました。そこで先輩方や先生方のお話を伺ったり、自分でも調べてみたりして、身体と心の両面から患者さんのサポートができる作業療法士の仕事に魅力を感じ、この進路を選びました。大学で勉強するうちに、できるだけたくさんの病気をみたいと考えるようになり、今の勤め先を志望しました。
先生と学生の距離が近く、授業で分からないことや進路の悩みなどを相談しやすい環境でした。学科のスポーツ大会などコミュニケーションの機会も豊富でした。熱心に指導してくださる先生や、励まし合える友人のおかげで、充実した4年間を過ごすことができました。連携基礎ゼミやサークル活動など、他学科の学生や先生と関わる機会も多く、多職種連携の大切さを学生時代から身につけることができたと思います。勉強面で特に印象に残っているのは4年次の臨床実習です。患者さんの状態を観察して考え行動する力や、声かけの仕方ひとつで良い印象を持ってもらえることなど、現場ならではの学びが沢山あり、現在の仕事にも役立っています。
自治医科大学附属さいたま医療センター 勤務/リハビリテーション学部 作業療法学科 卒/2019年卒/「私の勤める病院は急性期の医療を担っているので、重症の患者さんを担当することが多いです。それだけに日によって患者さんの状態が変化しますから、不安に寄り添うためにも、データだけでなく生身の患者さんの顔色や表情、発言を観察することが大切です」と仕事の心得を語る井上さん。趣味は買い物や旅行で、日本全国いろいろな場所に行ってみたいと言う。