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翻訳家の1日のスケジュール

翻訳家の1日のスケジュール

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翻訳家は翻訳の仕事に加え通訳業を並行して行っている人が多いようです。同時通訳は現場に行ってリアルタイムで通訳をするのでスピードとライブ感が大切ですが、翻訳の仕事は活字となって残るという点においても責任が大きい仕事です。同時通訳としても活躍する、ある翻訳家の1日の過ごし方について紹介しましょう。

活字に始まり活字に終わる

活字に始まり活字に終わる

07:00
時間がもったいないので新聞を読みながら朝食をとり、1日をスタートします。翻訳家は言葉に常に接している生活なので、活字をそばに置き、文字情報にあふれた暮らしを送ります。
08:00
この日は同時通訳の仕事が入っているので、移動のために出かけます。
09:00
会議通訳は現場で仕事をします。グローバル企業(さまざまな国でビジネスを展開して成功している企業)の同時通訳をすることが多いので、専門的な用語などはあらかじめ調べて臨みます。同時通訳の仕事をするパターンはまちまちで、その時によって時間や場所が違います。
12:00
資料を見ながらランチをとります。ここでも、活字に触れながら短い時間で食事をします。
13:00
自宅で翻訳の仕事をします。
主に行うのはグローバル企業の技術翻訳で、100ページ/月ぐらいになります。世界中に支社をもち取引を行っている一流企業では、1年中翻訳の案件があるため、かなりの量の翻訳を頼まれます。
A4サイズに12級のフォントで書かれた外国語の文書1枚を日本語に訳すとだいたい400字原稿3~5ページぐらいになります。会議通訳業務もあるので、1日(平日)に外国語の文書を5枚訳すとすると週平均は20~25枚程度、1カ月で80~100枚のペースで仕事をこなします。日中は同時通訳をしていることが多く、翻訳に時間が取れない場合は、週末に調整して対応します。同時通訳の仕事がない日は、朝から晩まで翻訳をしているので、1日に10~15枚の速度で進みます。
同時通訳もこなしているこの翻訳家のキャパシティは月100枚、年間1200枚だそうで、そのぐらいが心地いい量だと感じるそうですが、一般的にみるとかなりの量です。 卓球選手が1日12時間練習しているのと同じで、翻訳家は文字とずっと人生を共にしているようなところがあると話してくれました。
20:00
軽く食事をします。
その後は、次の同時通訳で必要な会議の資料や関連情報を収集したり、単語チェックに費やしたり、寝るまで勉強が続きます。
23:00
就寝。

技術翻訳ができる翻訳家になる

翻訳家の仕事は絵本や小説などを訳すことだと思われていますが、ある翻訳家は、生き残っていくためには専門性の高い翻訳をするべきで、グローバル企業における技術翻訳の仕事が翻訳業としておすすめだと言います。
例えば、自動車メーカーの技術翻訳をずっと続けていくと「技術系の翻訳家」になります。「技術系の」という言葉には、「テクニカル」や「メカニカル」という意味だけでなく「専門的な」という意味が含まれます。つまり、技術翻訳ができることはかなり専門的な翻訳ができるという意味であり、その分単価も高いため、翻訳家として生活をしていくにはとても重要なポイントになります。
メーカーが変わっても自動車のメカニズムは基本的に変わりませんから、使う専門用語はほぼ同じです。同じ領域で何十年も技術翻訳を続けている場合、業界の専門性を十分理解しているので企業からの信頼性が高まり、結果としてグローバル企業の技術翻訳ばかりを受ける翻訳家になれるのです。
当然、シビアな世界であり、その分言語力はもちろん、一般常識から財務、経営、法的な面にいたるまでの知識があることが求められます。そのためにはとにかく、外国語の品質を上げることが大切だと、ある翻訳家は話します。

2024年8月更新
取材協力

轟なぎさ(とどろき・なぎさ)

20歳からNHKでの通訳を経て上智大学と同時通訳者養成学校卒業後、プロ同時通訳者・技術翻訳家になり、PRコミュニケーション&会議通訳エージェント、アンクレア株式会社を設立。米国テンプル大学大学院にて教育学修士課程および博士課程首席卒業。300社以上の民間企業および政府関連の同時通訳の就業実績20年以上。NTV衛星生中継同時通訳、マーケティング&PRコミュニケーション業務、広報関連のメディア・イベントおよび記者会見などの同時通訳実績だけで1000回以上あり、現在に至る。

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