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翻訳家の1年目はどうだった?

翻訳家の1年目はどうだった?

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一般的な翻訳家は最初の1年間をどのように過ごすのでしょうか。仕事をするうえで、表現力はとても大切です。意味が正しく伝わるような日本語を選んで翻訳しなければならないからです。学生のうちにテロップ翻訳の仕事をすることで鍛えられたという、ある翻訳家の社会人1年目について説明しましょう。

テロップ翻訳で鍛えられた

ある翻訳家の初仕事は、テレビで毎週放送されていたスペシャル番組のテロップ翻訳だったそうです。二か国語放送が始まった頃で、同時通訳はまだ世の中では珍しい時代でした。大学に通いながら、同時通訳を目指して専門学校に通っていたときに、縁があってこの仕事を担当することになったそうです。しかも、番組の制作段階から参加していたと言います。海外で取材してきた著名な教授のインタビューを同時通訳すると、意味を理解したテレビ局のスタッフがそのテープを編集して番組を作っていき、そこにテロップで翻訳を入れる、という工程で仕事をしたのだそうです。当時としては最先端の生命科学を特集していたので、毎回、専門用語がたくさん出てきてとても勉強になったし、楽しかったと話してくれました。
何より大きかったのは、この仕事で表現力などが鍛えられたことだと言います。テロップは7秒以内ですべての情報を伝える必要があります。長い文章を流しても人は読むことができないので、人がしゃべっている間に骨子をまとめた翻訳を要約し、テロップで流します。細かい文章で訳すのではなく、今何を言っているのかを視聴者に伝わるような日本語を選択する、ということがとても勉強になった、と話してくれました。

同時通訳の夢もあきらめない

ある翻訳家は同時通訳の仕事がしたかったため、大学に通いながら専門学校に通っていたそうです。当時、親は転勤で海外にいたため、一人暮らしをしていましたが、学費は大学の分しか出してもらえませんでした。そこで、アルバイトをして専門学校に通う学費を捻出していたと言います。自分の勉強が終わると企業へ出向いて英語の講師をしていたそうです。生活資金や時間の使い方には厳しいものがあり、友人と遊ぶこともなく遅い時間に部屋に帰っていくのはとても辛かったと話してくれました。
やがて、大学生の間にテレビ局のテロップ翻訳の仕事をするようになってからは、さらに忙しくなったものの、毎日が新鮮で楽しくなったそうです。大学生でありながら、社会人1年目として仕事をしていたようなもので、トップレベルの大学教授や科学者の考え方を翻訳する仕事を通じて、多くを学んだということでした。
この翻訳家は、大学を卒業して企業に勤めることは考えていなかったので、就職活動はしていませんでしたが、周囲の友人が有名ブランドの社長室や大手の銀行などに次々と就職が決まっていくのを見て、本当に自分はこのままでいいのか悩んだと言います。それでも、夢をあきらめずに勉強し、22歳で同時通訳デビューを果たしたそうです。
1年目から同時通訳として国際会議などで活躍すると、翻訳と同時通訳の仕事が順調に進み、安定した収入が得られるようになりました。自分で想像した以上の収入があったときに、この仕事を一生の仕事にしようと決意したと言います。
大学時代は学費を稼がなければならなかったり、一人暮らしの寂しさがあったり、本当にこれでいいのかと心の中でいつも葛藤していたそうですが、苦労をした分、社会人1年目はとても充実していたということです。

取材協力

轟なぎさ(とどろき・なぎさ)

20歳からNHK通訳を経て上智大学と同時通訳者養成学校卒業後、プロ同時通訳者・技術翻訳者になり、PRコミュニケーション&会議通訳エージェント、アンクレア株式会社を設立。米国テンプル大学大学院にて教育学修士課程及び博士課程首席卒業。300社以上の民間企業及び政府関連の同時通訳の就業実績20年以上。NTV衛星生同時通訳、マーケティング&PRコミュニケーション業務、広報関連のメディア・イベントおよび記者会見等の同時通訳実績だけで1,000回以上、現在に至る。

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