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家具職人の歴史を知ろう

家具職人の歴史を知ろう

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生活様式の違いから、欧米と比べると家具の歴史が浅い日本ですが、家具を制作する職人はいつ頃に登場し、どのような経緯で仕事の場を広げていったのでしょうか。また、家具職人たちが築いた日本の「五大家具産地」の歴史や、各産地でつくられる家具の特徴などを見ていきましょう。

江戸時代に家具大工として登場

何百年以上前から床座で暮らしてきた日本人の生活空間に、箪笥(たんす)などの一般的な家具が登場したのは、戦国時代~江戸時代初期のこと。
それまで家具をつくる職人はほとんどいませんでしたが、武家や商家で家具の需要が高まるにつれて、木材を使った箪笥や座卓などを制作する職人が増えていきます。その多くが、神社仏閣の建設に携わる宮大工や、茶室をつくる数寄屋大工、木造船を建造する船大工、板を組み合わせて箱類をつくる指物師(さしものし)といった職人で、本業と兼業で家具をつくっていたようです。
江戸後期になると庶民の間にも家具が普及し、家具を専門に制作する家具大工と呼ばれる職人が登場。伝統工芸品の岩谷堂箪笥(岩手県)や仙台箪笥(宮城県)も、この頃に誕生しました。
その後、明治維新前後に西洋家具が日本に入ってくると、横浜や神戸を中心にイスやテーブルなどをつくる家具職人が増え、そうした職人・大工たちが全国各地に仕事の場を広げ家具の一大産地を築いていったのです。

日本の「五大家具産地」の歴史と特徴

家具の多くは木製であるため、代表的な家具産地のほとんどは木材の産地にもなっています。なかでも、日本を代表する五大家具産地といわれているのが「北海道旭川市」「静岡県」「岐阜県高山市」「徳島県徳島市」「福岡県大川市」の5地域です。各産地の歴史・変遷とともに、つくられている家具の特徴を見ていきましょう。

【旭川家具/北海道旭川市】
明治時代末期に北海道開拓を目的として、本州より多くの大工や家具職人が旭川周辺に移住してきたのが始まりです。豊富な森林資源とともに、戦後に木材の機械乾燥が普及して材料の品質が安定したことで、日本を代表する家具産地へと発展しました。デザイン性を重視した大型の洋風家具が主流となっています。
【静岡家具/静岡県】
静岡県内に多くの家具メーカーがあり、徳川家光が静岡浅間神社の大造営を行った際に、各地より移住してきた職人が源流となっています。漆塗りの技法を生かした鏡台や、茶箪笥の産地として古くから知られており、桐の和箪笥や唐木仏壇の産地としても有名です。
【飛騨家具/岐阜県高山市】
豊富なブナ材の有効活用を目指し、大正時代に地元の有志が出資して「中央木工株式会社」を設立したのが基礎となっています。曲げわっぱの技法を用いた「曲げ木加工」でイスを製造したのが始まりで、独特の技法を生かしたイス・テーブル・机など、脚のある家具が主流となっています。
【徳島家具/徳島県徳島市】
明治時代の初期に、阿波藩の船大工だった職人たちが家具製造を開始。明治中期に鏡台が関西地区で好評を博し、阿波鏡台の名で全国的に知られるようになりました。現在は、高級唐木仏壇の産地としても知られています。
【大川家具/福岡県大川市】
筑後川周辺に住む船大工が製造していた「箱もの」が元祖とされ、その歴史は室町時代までさかのぼります。ただ、現在の大川家具の基礎を築いたのは、江戸時代後期に長崎から細工技法を持ち帰った田ノ上嘉作といわれています。現在は、量産家具のメーカーがさまざまな種類の家具を製造しており、生産高では日本一を誇ります。

取材協力

伊藤 洋平

1996年より英国にて家具のデザインと制作を学ぶ。帰国後、2004年に伊藤家具デザイン設立しオリジナル・注文家具のデザインと制作を始める。2010年より本格的な家具デザインと制作技術を学べる「八王子現代家具工芸学校」を開校。ものつくり大学・日本工学院八王子専門学校非常勤講師、八王子市観光PR特使。

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