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この10数年はテクノロジーの進化により社会構造も大きく変わり、医師の働き方や求められる知識、能力も変化してきました。
日進月歩で進化するAIや医療機器によって、これから20年後、30年後の医療はどのように変化していくでしょうか。20年後、30年後の医師の仕事を見てみましょう。
AI、テクノロジーを利用することで高度な専門的治療に集中
医療機器の進歩により疾病の早期発見、身体への負担の少ない高度専門医療の普及が進んでいます。
例えば消化器内視鏡の分野では、AIもすでに臨床使用の段階に入ってきています。今後さらに内視鏡における病変のピックアップや、悪性腫瘍かどうかの診断がAIによってより正確に、より安全に行えるようになると予想されます。
また、医師業務の中には、書類業務などもかなり多くありますが、電子カルテの普及により負担が軽減されました。今後AIやテクノロジーの活用によって、普段の簡単な事務作業が自動化され、より専門的な診療への集中や、患者さんとのコミュニケーションへの時間配分、臨床研究への時間の有効活用が期待されています。
第一次から第四次産業革命になぞらえて、現在の医療は4.0世代となっています。
医療1.0 1960年代の国民皆保険制度
医療2.0 1980年代の介護施策
医療3.0 2000年代の医療カルテ導入
医療4.0 IoT、AI、VR などテクノロジーの活用
次に続く世代は、医療5.0時代となります。今後も予想外の進歩、変革が起こるかもしれません。
出典:「医療4.0 第4次産業革命時代の医療」 加藤浩晃 著(日経BP社、2018年6月23日発刊)
難しい術式の遠隔操作が可能になる
テレビなどで、遠隔でロボットを用いて手術をしている様子を見たことがあるかもしれません。
海外製の手術支援ロボットが有名となりましたが、2020年8月には国産の手術支援ロボットも承認されました。技術の進歩により、こういった医療機器を用いた遠隔での手術や治療が可能となってきています。今後さらにロボットを利用した手術が普及し、遠隔操作にて専門的な処置を、全国のハブとなる拠点病院で行えるようになっていくかもしれません。
ITによる遠隔医療が進むと、世界の垣根がなくなり、どこに居ても医療へアクセスできる時代が来ると思います。そうなると、医師は世界中から診断や手術治療の依頼が殺到する「スーパースペシャリスト」と、地域に密着し患者を見守る「ジェネラリスト」に分かれることが予想されます。高度に専門化した医師は、世界中から頼られ活躍し、患者のそばで実臨床を行う医師は、科目を超えて広く診る能力が求められます。
有路登志紀※2020年9月2日更新
消化器外科医10年目。群馬大学医学部医学科卒業後、群馬、埼玉での勤務を経て2017年より江戸川区の森山記念病院で勤務して現在に至る。二次救急を主体とし、消化器外科の緊急手術から緩和ケアまで幅広く対応する地域医療を目指しています。
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