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翻訳家に会いに行こう

翻訳家に会いに行こう

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翻訳家は普段は自宅で仕事をしているので、なかなか会う機会はありません。どのようなところに行けば翻訳家に会えるのでしょうか。ある翻訳家は、協会や語学学校でのセミナーやフォーラムに参加している人や、通訳業も並行して行っている人が多いと言います。翻訳家に会えるところを紹介しましょう。

翻訳家と直接会うのは難しい

翻訳は相談しながら進めるのではなく、基本的に一人で家にこもってやる仕事です。外で仕事をしているわけでもないので、あまり翻訳家に会う機会はないのが現実です。
一般社団法人日本通訳士協会(Japan Professional & Licensed Interpreters Association、以下JPLIA)という団体があります。通訳、翻訳、英語教育の事業を柱とした協会です。通訳者と翻訳家が大勢会員として所属していて、会員は約600名(2023年1月時点)います。この協会では研修会や講習会、セミナーやフォーラム、語学アドバイス活動などを行っていますので、応募すれば高校生が行っても問題はありません。
さらに、翻訳家や通訳者を目指す人のためのセミナーや通訳を学んでいる学生のためのワークショップなどを開催している企業や団体もあります。「翻訳」と「通訳」の両方をキーワードにインターネットで検索してみるといいでしょう。

翻訳と通訳の両方の業務が本人のためになる

翻訳と通訳は両方をうまくブレンドさせて仕事をすることが本人のためになると、同時通訳として活躍するある翻訳家は言います。
大きな国際会議などの同時通訳は通常3~4名体制、ミニマム2名体制で行われるのが一般的です。放送業界の場合、例えばNHKだとプロのアナウンサーがいて、同時通訳が3名入ることになります。
業界慣例として、同時通訳者は通常ペアで業務にあたり、15分おきに交替します。一人ですると大変ですし、長い時間できない人も多いからです。1つの言語を耳で聴きながら、頭の中で瞬時に意味を理解し、違う言語で意味がわかるように伝えます。耳から入る音に全神経を集中させ、目で相手の表情を追い、頭をフル回転させます。すべてを頭の中で完結させることは難しいので、ノートやペンを使って書き取り、文章を組み立てていきます。これはかなりの重労働であり、体力を消耗するため、体調を崩す人も少なくないのだそうです。
生放送での同時通訳はもっとサイクルが短く、5分とか7分ごとに交替する場合もありますので、とても大変です。プレゼンテーションや記者会見の質疑応答の同時通訳の場合は、一問一答で交替することもあります。同時通訳の仕事は毎日のようにしていると体がもちません。そこで、1週間に1日は翻訳をする、1週間連続で同時通訳をしたら週末は休むなど、無理せずできるペースでするというように少し工夫することが重要です。通訳の合間に翻訳の仕事をあえていれて、自宅で仕事をすることで体をいたわりながら続けるようにしているそうです。
通訳者にとってみれば翻訳はいい勉強材料であり、翻訳と通訳の両方をやることが本人のためになります。翻訳と通訳は「通・翻」といって業種的にもセットになっていますから、翻訳家に会うことは、通訳者に会って話をすることでもあるのです。

2024年8月更新
取材協力

轟なぎさ(とどろき・なぎさ)

20歳からNHKでの通訳を経て上智大学と同時通訳者養成学校卒業後、プロ同時通訳者・技術翻訳家になり、PRコミュニケーション&会議通訳エージェント、アンクレア株式会社を設立。米国テンプル大学大学院にて教育学修士課程および博士課程首席卒業。300社以上の民間企業および政府関連の同時通訳の就業実績20年以上。NTV衛星生中継同時通訳、マーケティング&PRコミュニケーション業務、広報関連のメディア・イベントおよび記者会見などの同時通訳実績だけで1000回以上あり、現在に至る。

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