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ピアニストと食事は一見、あまり関係のないことのように思うかもしれません。しかし、ベストな状態で演奏をするためには食事の管理も大事になってきます。では実際にピアニストはどのような食生活を心がけているのでしょうか。現役ピアニストの食事を覗いてみましょう。
本番前にはバナナを1本!
自炊時の食事の様子
ピアニストにも体調管理は必須です。私はコンサートの本番前に、バナナを1本食べることをルーティンにしています。バナナはすぐにエネルギーになるので、本番前に食べている方は多いですね。同じ思考の演奏家が集まるとバナナが房(ふさ)で楽屋に置いてあることもありますよ。糖分が不足すると緊張で頭が真っ白になり、指が震えてしまうので、すぐに脳の栄養になるものも摂取するようにしています。ブドウ糖の飴やチョコレートを食べることもありますね。
本番前は飲み物にもこだわっていて、水や紅茶、スポーツドリンクを飲むようにしています。一度ステージに出ると1時間以上戻ってこられないこともよくあるので、喉が乾いてしまう飲み物は避けています。例えば、私の知り合いには「本場前は必ず温かい緑茶と鮭のおにぎりを食べると決めている」という人もいますし、みんな自分なりの験担(げんかつ)ぎがあります。「ドレスを着て、ご飯を食べて、本番を迎える」というようにルーティンを決めている演奏者は多いです。
普段は夜10時半くらいまで練習していますし、お酒を飲んでしまうと練習ができなくなってしまうので、お酒もあまり飲まないですね。もちろんお酒をよく飲むピアニストもいるので人それぞれですが、私がお酒を飲むのは大きな公演の打ち上げのときくらいにしています。ドイツにいたときですら、ビールもワインもほとんど飲まなかったので、まわりからは「もったいない!」と言われました。
体を冷やさないことが大事
私は冷え性なので、コンサート前だけでなく、普段の食事にも気をつけています。例えば、冷たい食べ物を取らないように心がけています。冬場は特に生姜紅茶で体を温めたり、根菜類を食べたりして、体を冷やさないようにすることが大事です。ほとんど毎日自炊をするようにしていて、栄養バランスが良い食事を心がけています。血液をサラサラにするために納豆を食べたり、野菜は生のままではなく温野菜にしたりもしていますね。コンサートなどが長丁場の時はパワーをつけるためにお肉を食べることがあります。体調が万全じゃないといい演奏ができないので、常に体調管理には気をつけて生活しています。これは私の趣味でもあるのですが、最近は高濃度ビタミンC点滴をしたり、ビタミン剤を処方してもらったりしています。
伊藤 慧
フェリス女学院大学音楽学部卒業後、数多くの奨学金を授与されシュツットガルト音楽大学、ブレーメン芸術大学にて学ぶ。国内外のコンクールにて入賞多数。これまでにポーランドクラクフ国立室内管弦楽団、神奈川フィル等と協演。サウンドインレーベルより4枚のCDをリリース。
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