観光まちづくり学部3年の小松美穂さんは、
宮城県気仙沼市出身。
東日本大震災後のまちの復興とともに育つなかで、
“観光まちづくり”の大切さに気づいたといいます。
学部の1期生として“観光まちづくり”を学ぶ今、
「フィールドワーク」や「海外スタディツアー」などを通じて
国内外のさまざまな地域へと足を運び、視野を広げています。
「本当に、大好きな学部です!」と笑顔で語る小松さんに、
学びやキャンパスライフについて伺いました。

PROFILE

観光まちづくり学部 観光まちづくり学科3年
宮城県気仙沼高等学校 卒業

小松 美穂

小松さんが“観光まちづくり”に関心を持ったきっかけを教えてください。

小松さん: 2011年3月、当時小学1年生だった私は、地元である宮城県気仙沼市で東日本大震災に遭遇しました。自宅は被災を免れたものの、通っていた小学校の校舎1階はすべて浸水し、私が暮らす地域でも広範囲にわたり甚大な被害を受けました。以来、まちの復興を間近に感じながら、まちの復興とともに育ちました。転機となったのは高校時代、地元の「観光業」をテーマに発表をした探究授業です。豊かな漁場を持つ気仙沼市は、長らく「水産業」が産業の柱となってきましたが、震災後は「水産業」とともに、新たに「観光業」を加えた二本柱で復興を進めていました。気仙沼ならではの魅力を広く発信し、たくさんの人々が訪れたくなる地域をつくり、まちを元気にしていく。そのためには“観光”だけでも、“まちづくり”だけでもなく、両者が一体となった“観光まちづくり”となって初めて地域を活性化できるのだと、この時に気づいたのです。これをきっかけに私は“観光まちづくり”という分野に強く惹かれるようになりました。

すると、地域を主体に“観光まちづくり”の手法を学ぶことができる國學院大學の観光まちづくり学部は、小松さんの興味関心にぴったりな学部だったわけですね。

小松さん: 2022年4月に開設するこの学部を見つけた時は、「まさに、私のための学部ができる!」とワクワクしました(笑)。そして、第1志望である観光まちづくり学部に総合型選抜入試で挑戦し、その1期生として入学することができました。入試では、高校時代の探究授業での経験が少し活かせたと感じています。

入学から3年が経ちますが、大学生活はいかがですか?

小松さん: 観光まちづくり学部には思い描いていた以上の理想的な環境があり、「この学部に入って本当に良かった!」と、入学以来ずっと感じています。まず、大きな魅力は、“観光まちづくり”を基軸に観光学や都市計画、地域デザイン、景観保全など、多彩な専門分野の先生方がそろっていることです。自身の専門分野を熱く、楽しげに語る先生方の姿から、学問に注ぐ情熱や愛がひしひしと伝わってくるので、私も刺激を受けます。さらに、まちづくりや観光に強い関心を持つ学生たちが全国から集まっているので、ここにいるだけで学びへのモチベーションが自然とあがる雰囲気が、学部全体にあるんですよね。

「理想的な環境」は、学び方やカリキュラムの面でも当てはまりますか?

小松さん: もちろん、その点でも充実度はとても高いです。観光まちづくり学部では、課題の設定からフィールドワーク、発表までの一連の流れをグループワークで実践的に学ぶ「ゼミナール」と「演習」の授業が1年次からあります。これらの授業では、実際の現場に足を運んでさまざまな人々から話を聞き、仲間たちとディスカッションを重ねていくなかで発想力も鍛えられることから、“観光まちづくり”を考える上でのアイデアの引き出しが増えてきたと感じています。また、1・2年次の「基礎ゼミナール」では、異なる先生が担当する複数のゼミナールを受講可能で、先生方の専門分野に最大8つまで“お試し”で触れることができます。だから、ここで興味関心を広げると同時に、3年次から始まる「専門ゼミナール」に向けて、自分が深めたい専門分野をじっくりと考えることができます。

3年生の今は小林裕和先生の「専門ゼミナール」で学んでいますね。小林先生のゼミナールを選んだ理由は?

小松さん: 観光地域づくり法人(DMO)に関心があり、これを専門とする小林先生のゼミナールを選びました。DMOは、行政や観光協会、商工会議所といった地域の組織と人々をまとめる、“観光まちづくり”を進める上でのいわば司令塔です。世界各国で数多くのDMOが活動しており、私の地元・気仙沼市のDMOの取り組みは、日本におけるDMOのモデルケースとしても脚光を浴びています。2年生だった昨年、「海外スタディツアー」に参加した際に、海外の事例や現状を把握する重要性をあらためて認識したこともあり、今後は日本国内だけでなく海外にも広く目を配りながらDMOの活動を調べていきたいと考えています。

昨年は「海外スタディツアー」にも参加したんですね。どこへ行ったのですか?

小松さん: 9月上旬にタイへ行きました。私にとっては初の海外渡航です。タイの大学で都市計画を研究する先生のガイドのもとバンコクの街を歩き、現地の学生たちとも交流しました。タイの都市開発の現状に触れてまず驚いたのは、そのスピード感です。どういう街にするかというプランニングにはじまり、住民へのヒアリング、そして実行に移すまで、すべてがスピーディーに進むというタイの都市開発は、物事を慎重に進める日本の感覚からすると、とても新鮮に映りました。また、真新しい高層ビルが林立するエリアと、昔ながらの街並みが残る旧市街地とが混在し、人々の熱気にあふれるまちの雰囲気は、ただ歩くだけでも十分に楽しめました。「海外スタディツアー」は、海外に出るからこそ得られる新たな気づきや視点があることを、身をもって実感する機会になりましたね。

3年次の今年は9月上旬に「ゼミ合宿」でオランダ・アムステルダムへ行くそうですね。

小松さん: かつて大手旅行代理店に勤務していた小林先生は、海外駐在の経験も豊富で、アムステルダムにも駐在していたそうです。そんな先生の案内のもと、まちを巡るのが今から楽しみです。具体的なプログラムはまだ調整中ですが、現地の学生との交流や、日本文化を紹介する英語でのプレゼンテーションなどを予定しています。

加えて3年次となると就職活動も本格化します。卒業後はどのような進路を考えていますか?

小松さん: 現時点では3つの業界に関心があります。一つ目が旅行業界、二つ目がまちづくりに携わる不動産業界、三つ目がDMOです。なかでも不動産業界であれば、コミュニティデザインや被災地での災害復興住宅の支援、復興まちづくりにも携わることができるので、強い関心があります。DMOは、ゆくゆくは地元にUターンして活動することを考えていますが、その前にさまざまな地域で社会人経験を積みたいと考えています。

今後の目標を教えてください。

小松さん: 授業をきっかけに数多くの地域を知り、実際に足も運んできたことで、国内外問わずさまざまな地域に行きたいという思いがより強くなりました。今後もたくさんの地域を訪ね歩くことで、観光客、地元住民、それぞれの視点からまちを見る目を養っていきたいと考えています。そして将来的には、国内外で活躍できる「地域を見つめ、地域を動かす」人材になることが目標です。

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