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かつては本や雑誌などの紙媒体を中心に活躍していたライターですが、インターネットの普及により、その仕事内容や働き方も変化しています。
まず挙げられるのが、Webのニュースサイトや情報サイト、メールマガジンなどの原稿ライティングに特化した「Webライター」が急増していること。その理由としては、Web媒体のニーズが紙媒体を追い抜くほどに高まっている点と、ライターとしてデビューする際のハードルが低いという点の2つがあります。
専門職としてのイメージが強いライターですが、紙からWebへ情報の重心がシフトし、SNSやブログを通して “自分の文章を世の中に発表すること”が当たり前になった現在では、「誰でも気軽にはじめやすい」「副業としても取り入れやすい」といったイメージが浸透しはじめています。
しかし、ライターには「正確な情報をわかりやすく読者に届ける」という使命があり、それは決して簡単なことではありません。きちんと役割を理解し、責任感と誇りと技術をもって仕事に取り組む人でなければ、「また仕事を頼みたい」と感じてもらい、ライターの仕事を長く続けることは難しいでしょう。
クオリティーの高い仕事が次の仕事の依頼や収入に繋がるだけに、いい加減な気もちや姿勢では、ライター一本で生活していくことのできるプロにはなれないと言えます。
紙からWebへ、仕事のフィールドが移行
スマートフォンの普及とともに、「何か知りたい時はまずWebを頼りにする」「時間があればスマホで何かしらの情報を目にしている」という人が増えてきました。
無料で読めるページも多いため、お金を払って購入しなくてはならない本や雑誌の需要の一部はWebに取って代わられているとも言えます。ビジネスの面から見てもWebでの広告効果に期待する企業は多く、「宣伝・広報はWeb中心で」という声も聞かれるようになってきました。
このように“情報発信”の形が変化していることから、情報をコンテンツ(読み物)としてまとめるライターの活躍の場も、紙からWebへとどんどん広がりを見せています。「仕事のチャンスが増えた」と考えることもできますが、一部のWeb媒体では、無断でほかの媒体の記事をコピーしたり、専門的な知識がないまま根拠のない内容を記事にしたりと、運営者やライターのモラルが問われるケースが発生し、社会問題になりました。
Web媒体においては高度な文章力や過去の実績が問われない場合もあり、ライターとして執筆経験のない人が、クラウドソーシングサイトなどを通じて、ライターとして仕事を任されることもあります。未経験でも、誠実な仕事をして経験を積んでいく人がほとんどですが、中には正しい情報を取捨選択する力や、情報を扱う際に守らなければいけない法律やルールの知識がない人もおり、読者が不利益を被ったり、情報提供者の権利を侵害してしまったりする不幸な事例も出ています。
これまではニーズに対しての需要が足りていないこともあり、文章の質にはある程度目をつむるという場面も少なからずあったようですが、ライターに仕事の依頼をする企業の責任が大きく問われるようになっている現在では、その流れは変わりつつあります。今ライターとして仕事をしている人はもちろん、これからライターを目指す人に対しても、プロとしての意識が大きく試される時代になっていると言えるでしょう。
女性ならではの経験や視点を生かせる
ライターは男女問わず活躍できる職種ですが、女性ならではの経験を生かすことのできる記事のニーズが高まっているのが最近の傾向です。
化粧品やエステといった美容関係の分野では、多くの女性ライターが活躍していますし、育児関係の仕事の場合は、出産・子育ての経験を生かすことができます。
また、近年、さまざまな業界で活躍する女性が増えていることに伴い、女性の経営者や専門家を取材する機会も増えています。そういった場合には、女性という立場やこれまでの人生経験を生かして仕事をすることができるでしょう。
プロとして食べていくためには“差別化”が重要
Webライターの登場もあり、ライターになることそのものは、以前よりもハードルが下がっています。
とはいえ、プロのライターとして一定の収入を得ていくためには、オリジナルな価値を生み出して周囲にアピールしていくことが、よりシビアに求められるようになっているとも言えます。
なかでも大切なのは、「グルメに関しての知識なら負けない」「インタビュー記事なら任せて」というような“自分の得意分野”をつくること。「この仕事なら、あの人が適任だよね」と言われるイメージと実績があれば、仕事に困ることはないでしょう。
高橋実帆子※2020年8月31日更新
フリーランスライター/エディター。1980年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、通信社記者を経て、2012年からフリーランスとして活動。女性向けWebメディアの編集長を経て、企業HPのコンテンツ制作、SNS運用支援などに携わる。経営者・役員インタビュー、社内報執筆、経済系書籍のライティング、日本文化に関する記事など執筆多数。
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