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音楽療法士の20年後、30年後はどうなる?

音楽療法士の20年後、30年後はどうなる?

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音楽療法士の仕事はAIの進化により何か影響を受けることはあるのでしょうか。すでに音楽療法では「自分の気分に合う音楽をAIに選んでもらう」などの試みがなされていますが、まだまだ「AIには苦手なジャンル」だと考えられています。20年後、30年後に音楽療法士の仕事はどのように変化していくのでしょうか。

相手の様子を察し“良い加減”で音楽療法を行うことは機械には困難

未来のイメージイラスト
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音楽療法士は対象者の成育歴、職歴、病歴だけでなく、その日の顔色、声色、体臭、など五感をフルに使って接します。音楽を選ぶときにも、曲を提供するときにも「曲の速さ、音量、調性、リズムの取りかた、高音・低音のバランス」を“演奏しながら”対象者の様子に合わせてコントロールします。対象者の状態や、変化に瞬時に対応していくことは“人”にしかできないことだと考えますので、AIが今後発達しても音楽療法士の仕事がAI に代替されることはないと思います。
AIは「この年代の対象者はこの歌手のこの曲を好むのではないか」と判断することはできます。しかし、人間らしく“察する”能力はありません。例えば、失恋で落ち込んでいるときに、いわゆる一般的な失恋ソングが全員の心に響くとは限りませんよね。たとえ失恋をテーマにしたものではなくとも、ドライブのときに恋人と一緒に聞いた曲がその人にとっては思い出の曲となり、失恋ソングになりうることだってあります。そういったことをヒアリングし、想像することはまだまだAIにはできないのではないでしょうか。
一方でAIに期待できることがあります。例えば、対象者のおでこに機械をかざすことで熱・心拍数・汗・瞳孔の開きや眼振などを触れることなく測定し、エアコンの温度を変えるなどの技術です。音楽療法士は音楽を用いて対象者の気持ちを高揚させたりしますが、見た目だけでは感情の変化がわかりづらい人を過度に興奮させすぎてしまうこともあります。過度な興奮は夜眠れなくなってしまうこともあり、望ましくありません。しかし、AIの技術を用いることで心拍数など常に正確な対象者の身体状態を把握し、過度に興奮させずに済むなどの技術は音楽療法士の助けになると考えられます。

国が予防医療を提唱することによりますます注目される音楽療法

高齢化社会への対応として、国はまず介護施設などを増やす試みを行っていました。しかし、それでも数が不足している現状に対し、“在宅介護”を提唱するようになります。それでも近年は在宅介護にも限界が見えつつあり、今度は“予防医療”を提唱しはじめています。これまで、65歳以上の人の4人に1人が認知症予備軍であると言われていました。しかし、近年ではそれが3人に1人と言われるようになっているので、数年後には2人に1人の割合になるかもしれませんよね。
そんななか「認知症を発症してしまう前に自ら防ぐように努力しましょう」と提唱している予防医療の推進により、音楽療法はますます注目が高まる分野だと考えています。音楽療法は病気になってしまった方の心や体を癒すだけでなく、病気の予防にも効果があると考えられているためです。

取材協力

富山 美由紀

音楽教室「ミュージック・コア・ミユキ」主宰。日本音楽療法学会認定音楽療法士、同学会関東支部幹事、身延山大学特任講師。2017年に日本で初めて開催された第15回世界音楽療法大会において研究発表を行った。

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