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本が好きであれば、「司書に憧れる」という人は多いでしょう。とはいえ、司書として採用されるのは狭き門だと言われることが多いですし、「子どもの読書離れや図書館業務のコンピュータ化が進んで活躍の場が減っているのでは?」と将来に不安を抱く人もいるかもしれません。
しかしながら、「図書館の数」「司書の人数」「児童1人あたりの貸出冊数」はいずれも増加しているというデータ(※)が出ているなど、図書館や司書に対する世の中のニーズが低くなっているわけでは決してありません。また、雇用形態だけを見れば正規職員より非正規職員の割合が増えてはいるものの、司書という専門職へのニーズは一定数あり、それはこれからも大きくは変わらないと言ってもいいでしょう。
とはいえ、正規職員と非正規職員における給与や待遇の壁はやはり厚いため、安定した生活を望むのであれば、こまめに情報収集を行い、試験対策などの準備を早くから行う必要があると言えます。
※文部科学省 平成27年度社会教育調査中間報告を参照
「人と人」ならではのサービスが重要に
本の登録・管理、貸出・返却処理、本の検索など、以前は人力で行っていたことの多くをコンピュータで代用できる時代になりました。そのため、司書の仕事内容や求められる能力、存在意義は、少しずつ変化しつつあります。
コンピュータやロボットの普及により事務作業が効率化されることによって、「人間の存在価値をどこに見出すのか?」というのは、図書館にかかわらずさまざまな場所で議論される問題です。考え方はいろいろありますが、大切なのは、やはり「人と人だからこそ成り立つ、温度感のあるコミュニケーション」ではないでしょうか。
司書の仕事で言えば、それは利用者との対話になると思います。調べものをする際、コンピュータ検索でもある程度の情報にたどり着くことはできますが、司書が直接利用者にヒアリングをし、微妙なニュアンスも理解したうえで提供する情報は、より的確で価値あるものになるはずです。
このことから、高いコミュニケーション能力やレファレンスサービスの質の向上が、今後いっそう重視される時代になっていくと考えられます。
司書資格+αのスキルにより、活躍の場が広がる
司書の就職先の大部分を占める公共図書館や国公立学校の正規職員(地方公務員)の採用ハードルは高く、例えば「1名の枠に300名の応募者がいる」という話を聞くこともあるほどです。国や地方の財政悪化に伴う「公務員削減」や「公務員の給与カット」などが叫ばれる中、正規職員としての雇用が今後今よりも増えていくとはなかなか考えづらいものがあります。
では司書として安定的に働くのは難しいのかと言ったら、必ずしもそうではありません。例えば私立大学の図書館などでは、公立の図書館とは違った独自の採用活動を行っていますし、司書資格のほかに一定の学歴や英語力を問うかわりに待遇が手厚く整えられている場合もあります。また、契約期間が決められている嘱託職員の場合でも、働きぶりが認められれば、契約を延長しながら働いたり、正規職員に登用されたりすることもあります。
「こんな司書になりたい」という強い気持ちと、司書として求められるスキルの向上に励むことにより、司書としての活躍の場所や可能性の幅はぐんと広がるのです。
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