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音楽療法士を目指すのにまず必要なのは、「音楽」を愛する気持ちと、「音楽の力で人を助けたい」という信念でしょう。音楽療法士は人の心をケアする仕事であるため、音楽と心理学、いずれについても専門的な知識が求められます。さらに、音楽療法は音楽を活用した“治療”であることから、患者さんの病気や障がいを正しく理解するための医学的な知識も問われます。これらの専門知識は養成学校のカリキュラムを通して身につけていくことになりますが、多領域の知識を広く深く学んでいくことは、決して簡単なことではありません。困難にぶつかったとき、「人の役に立ちたい、困っている人を助けたい」という強い想いこそが、自分を奮い立たせてくれるはずです。また、音楽療法士はさまざまな患者さんや利用者さんに向き合い、周囲の医療スタッフやリハビリ専門職との連携も重視される仕事。人が好きであることと、誰とでも明るくフラットに接することができるかどうかも大切になってきます。
音楽を愛する心
音楽療法士がまず「音楽を楽しんでいる」姿を見せることが、患者さんや利用者さんがリハビリプログラムに興味をもつきっかけになります。技術を磨くことも大切ですが、楽しく歌い演奏することや、音楽の力を信じる気持ちを忘れないでいてください。また、幅広いジャンルの歌唱や演奏に触れ、音楽という世界を広く知ることも、相手に合わせたリハビリプログラムを考える際のアイデアにつながるでしょう。
楽器の演奏技術
音楽療法の現場では、音楽療法士が楽器で伴奏をつけたり、リハビリ対象者さんに楽器演奏をレクチャーしたりする場面があります。そのため、高度である必要はありませんが、基礎的な演奏技術は必須となります。ピアノに加え、ギターなどの弦楽器や打楽器などにも触れておけると、よりいいでしょう。
人の役に立ちたい、助けたいという気持ち
音楽療法士の仕事は、「音楽が好き」「音楽を生かした職業に就きたい」という気持ちだけでは成立しません。音楽療法士は、音楽を使ったリハビリのプロであり、障がいなどによって日常生活に困難を抱えている人の力になることこそが、最大の役割になります。音楽家ではなく、社会福祉に貢献するメンバーの一員になるという自覚と強い決意があるかどうか、自分自身に問いかけてみましょう。
人との対話、コミュニケーションが好き
音楽療法は、音楽を通した、人と人との対話です。音楽というツールを使いながら、相手のことを知り、また自分のことを知ってもらう。その繰り返しのなかから信頼関係が生まれ、患者さんや利用者さんの本音や抱えている問題をより深く知ることができ、効果的なリハビリプログラムへとつながっていきます。また、リハビリプログラムを考えるにあたっては、対象者の趣味・嗜好をうまく取り入れることも必要。何気ない会話のなかから、相手の好きなことや興味のあることを引き出せる能力も重要になります。
根気強さ、忍耐力
音楽療法を受ける患者さんや利用者さんには、人とコミュニケーションをとることが得意ではない人もたくさんいます。そのため、なかなかリハビリプログラムに積極的になれなかったり、周囲と協調できなかったり、こちらの指示を聞いてくれなかったり…と、うまくいかないことも多く発生するでしょう。そんなときでも焦らず、忍耐強く相手に向き合えるかどうかも、音楽療法士としての大切な資質になります。相手のちょっとした変化を見逃さず次の行動や声かけにつなげ、工夫を重ねていくことで少しずつ変化が見えてきたときには、大きな達成感とよろこびを感じられるはずです。
論理的思考、分析力
音楽療法の対象者は、抱えている障害や症状も、年齢も、興味もさまざま。誰にでも同じやり方が通用するというわけにはいきません。そのため、一人ひとりの病状や症状、性格をよく理解したうえで、「この人にはこんなプログラムが合うのではないか」という仮説を立てる必要があります。そして実際にプログラムを行っている最中は相手がどんな反応をしているかよく観察し、うまくいった部分とうまくいかなかった部分を把握し、改善点につなげる…と、仮説と分析を繰り返していきます。病状や症状を正しく理解するためには医学的な知識が不可欠です。また、対象者の反応には必ず理由があると考え、感情的な部分にだけ目を向けるのではなく、冷静に相手を見つめる視点も大切になります。
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