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国税専門官は国家公務員の職種のひとつ。「国税局や税務署において、法律・経済・会計等の専門知識を駆使し、適正な申告が行われているかどうかの調査・検査、滞納者への税金の督促や滞納処分などを行う」と定義されています。このような専門的な職務に当たる国税専門官は、収入面でも、国家公務員として安定した給与体系となっています。国家公務員の給与は、法律に基づく「国家公務員の俸給表」により、職種ごとに月額の基本給(俸給月額)が決められており、国税専門官は「税務職俸給表」で定められている金額となります。俸給表は、職務内容の専門性や役職を意味する「等級」と、勤続年数や年齢などに応じた「号棒」の2つの指標からなるもの。等級と号棒の2つの指標の組み合せによって、俸給月額が決まりますが、勤続年数に応じて毎年昇給し、役職が上がればさらにアップするという、年功序列型の給与となっています。
それでは国税専門官の収入をみていきましょう。
国税専門官の初任給はどのくらい?
国家公務員の初任給は、省庁、職種、職務内容などによって、俸給表の中のどの等級・号俸からスタートするかで金額が変わってきます。国税専門官の初任給は「税務職俸給表」の1級22号俸が適用され、月額20万8800円となっています。ただし、この金額は、地域手当が支給されない地域で採用された場合の基本給です。地域手当とは、民間賃金の高い都市部などに勤務する職員に支給される手当で、例えば東京都特別地区内に勤務する国税専門官には勤務手当が加算されますので、初任給は25万5600円となります。
「国税専門官採用試験 受験案内(2022年度 人事院・国税庁)
国税専門官の平均月収はどのくらい?
それでは、国税専門官の平均月収はどのくらいになるのか、「税務職俸給表」をベースに確認していきましょう。
月給は、税務職俸給表による俸給(基本給)に諸手当が加算された額になります。
「令和3年国家公務員給与等実態調査」(人事院)によると、税務職の平均俸給(基本給)は35万6097円、諸手当が7万6525円。この俸給と諸手当を合計して43万2622円が平均給与月額という結果になっています。一方、「国家公務員の俸給表」が適用される全職種の平均給与月額は41万4729円(平均年齢:42.7歳)。国家公務員のなかでも国税専門官(税務職)の月収は高いと言えるでしょう。
国税専門官のボーナスはどのくらい? 年収は?
国税専門官は国家公務員の給与規定により、ボーナスの支給は年2回。期末手当と勤勉手当という2種類の手当の合計額がボーナスで、6月と12月の2回に分けて支給されます。
支給月数は、人事院が調査した民間企業の支給状況を基礎にして決められています。令和4年4月現在、支給月数としているのは年間4.30カ月分。
「令和3年国家公務員給与実態調査」(人事院)による、税務職の平均給与月額43万2622円(俸給35万6097円+諸手当7万6525円)をもとに算出したところ、ボーナスは186万275円(年額)。そして、平均給与月額額12カ月分にボーナスを加えると、年収は705万1739円となりました。
(※)令和4年8月の人事勧告で、ボーナスの支給月数は4.40カ月分に引き上げられましたが、この記事で記載の給与金額などは「令和3年国家公務員給与実態調査」(人事院)のデータを基本にしているため、ボーナスの金額も「年間4.30カ月分」をもとに算出しています。
また、期末手当、勤勉手当共に俸給や手当などを基礎に、それぞれで計算式が定められています。この記事では国税専門官のボーナスがどのくらいなのか、目安をお伝えすることを目的としているため、平均給与月額に支給月数を単純計算してボーナスを算出しました。
参考:「国家公務員の諸手当の概要」(人事院:令和4年8月)
国税専門官(税務職)の平均収入
等級や経験年数によって、収入の差はどのくらいあるの?
国家公務員である国税専門官は、役職を表す等級や経験年数が上がるにつれ、収入が増加していきます。
まず、等級別の月収推移をみていきます。1級の21万3000円からスタートし、9級の50万6000円まで等級が上がるにつれ、月収は確実に増加していることがわかります。特に3級から4級にかけての上昇度が高く、月収は約6万円、上昇していました。
等級別 国税専門官(税務職)の月収推移
次に経験年数別でみていきましょう。1年めの平均月収は約20万円でした。その後、年数を重ねるごとに、徐々に上昇していきます。月収の上昇率が高いのは、「10~15年」から「15~20年」の時期で約5万円アップ、ここからさらに経験年数25年にかけての時期にも約5万円アップ。経験年数35年以上になると、月収は約44万円になります。このデータから、年功序列型の給与であることがうかがえます。
経験年数別 月収推移
最終学歴によって国税専門官の収入に違いはあるの?
国税専門官の収入は、最終学歴によって差が出るのでしょうか?
基本給を調べてみると、勤続年数が25年に満たないころまでは、学歴によって基本給に差が出る状態が続くことがわかりました。勤続20~25年までは、高校卒よりも短期大学卒のほうが約1万~2万円高く、短期大学卒よりも大学卒のほうが約2万~4万円、高くなっています。高校卒と大学卒の差は約4万~5万円でした。以後は学歴に基本給の差が縮まり、勤続30~35年で同等になっています。
最終学歴別月収推移
国税専門官の給与は安定した年功序列型
国税専門官は長く勤めるほど基本給はアップし、役職が上がるほど等級が上がり、多くの給与が得られるようになります。
また、手当が充実していることも特徴。月給には、俸給(基本給)に扶養手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、寒冷地手当、勤務する場所ごとに異なる地域手当などの諸手当が加算されています。
手当の額は、例えば、配偶者や子どもなど扶養家族がいる場合に支給される扶養手当は、扶養家族1人につき、月額5000円~1万円が支給されます(支給額は続柄により異なります)。また、通勤手当は公共交通機関を利用しているケースなら、月額で5万5000円を上限に支給(6カ月定期券などの金額により支給)。住居手当は賃貸住宅に住んでいる場合に適用され、月額2万8000円を上限に支給されます。
「国家公務員の諸手当の概要」(人事院:令和4年8月)
「令和3年国家公務員給与実態調査」(人事院)
https://www.jinji.go.jp/kankoku/kokkou/03kokkou.html
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