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常に食べ物にまつわる情報にアンテナを張り、「考える」「作る」「食べる」を日々繰り返す料理研究家にとって、最も大事な資質は「食」が大好きであることです。
レシピ作りは答えのない奥深い世界でもあるので、現状に満足せず、自分の腕を磨きながら根気よく努力を重ね続ける姿勢も必要です。
また、これまでにない新しいアイデアを生み出すためには、既存の考え方に囚われない柔軟な発想力も大切になるでしょう。
「食」への興味・関心
365日、明けても暮れても「食」に触れ、「食」について考えているのが料理研究家です。例えばレストランで口にしたメニューについて、「食材は何と何で、味付けはあれとこれ」「この食材にあれを合わせたらおいしそう」とつい想像してしまうような探究心が求められます。
これまでにない新しいレシピを生み出すということは、並大抵のことではありません。1つのレシピが生まれるまでには想像以上の時間がかかりますし、失敗も当たり前です。心から「食」に興味がないと務まらない仕事と言えるでしょう。その反面、レシピを開発できたときは大きな喜びを感じることができます。
創造力と発想力
レシピ開発とは、食材・調味料・調理工程・調理技術などのあらゆる組み合わせから、ニーズを満たす視点や独自のアイデアを交えて新しいレシピを生み出す仕事です。
料理研究家には「食」への興味に加えて、ものづくりを楽しめる創造力が不可欠です。「次は○○をテーマに、こんな味を楽しめるレシピを開発しよう」とイメージを膨らませて、それを実現するための方法を考えて実践することにおもしろさを感じられる人は、料理研究家の適性があります。
新たな「食」のトレンドを巻き起こしていくためには、ほかの人が考えつかないような斬新なアイデアを思いつける豊かな発想力も必要になるでしょう。
挑戦と根気
新しいレシピを完成させるためには、意外な食材と調味料の組み合わせに挑戦してみることはもちろん、食材の下ごしらえをして、調理をして、試食をして、微調整をして…という作業を何十回、何百回と繰り返す根気強さが必要です。レシピの完成度を高めるためには、妥協は禁物です。チャレンジ精神と向上心をもち、地味な努力を続けることも、料理研究家として大成するためには避けて通れない道であると言えるでしょう。
情報感度の高さ
食材も調味料も日々新しいものが発見・創作されています。海外でブームになったものが日本に上陸して注目を集めるというパターンも多くありますので、国内外問わず「食」に関する情報に敏感であることが求められるでしょう。情報を自身の糧にするためには、まずは自分の舌で味わって、知識かつ経験として蓄積していくことが大切です。誰かの真似をしているだけでは料理研究家として頭角を現すことはできませんので、世の中の動きや人々の心を分析しながら、「これからの時代に受け入れられる料理ってなんだろう?」と自分の頭で考えることを意識しましょう。
アレルギーや衛生面に関する知識
人の口に入るものを手がけるということは、人の命を預かるということです。食物アレルギーや食中毒などの知識を備えておくことは、プロとして果たさなくてはいけない責務と言えます。衛生面に関する資格には食品衛生責任者があり、一定の条件を満たすと講習を受けて、取得することができます。誰もが安心して「食」を楽しめるように尽力することもまた、「食」の楽しさを万人に広める料理研究家に求められる役割といえるでしょう。
個性とセルフプロデュース力
メディアでよく顔や名前を見かける料理研究家は、話し方や立ち振る舞いが独特だったり、自身の経歴や肩書を生かしたレシピの見せ方をしていたり、ほかの人がこれまで扱っていなかったテーマに切り込んだりと、それぞれにオリジナリティーをもっています。単に、レシピが魅力的であるだけではなかなか人の注目を集めることはできません。料理研究家として自分をどう見せるのか、どう世の中に売り出すのかを考え実行できる力も、今の時代に必要な能力だといえるでしょう。SNSやブログなどの自己発信ツールを使いこなすスキルもそのうちの1つです。
西岡麻央
料理研究家
高窪美穂子※2020年8月26日更新
料理研究家。自身の体調維持のため培った目利き力で選んだ素材で作る家庭料理教室を主宰し、無添加のシンプルおいしいレシピで人気となる。飲食店・企業用商品開発、レシピ連載等各種メディアでも活躍。食の知識・目利き力を体系化したオリジナルメソッド講座、レシピ創造思考等を可視化・言語化したオリジナルメソッド講座も主宰。著作に2016グルマン世界料理本大賞Fish部門世界トップスリー『ラクチン! お魚クッキング』 2014グルマン世界料理本大賞Single Subject Cookbook日本代表『おうちでできる天然おだし料理入門』ほか。オリジナル商品に「おだしマジック!粉鰹」。
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