応用化学とはどんな学問?
応用化学とはどんな学問?
化学の理論をつかって、新しい物質を作り出す
化学の理論を追求するのが「化学」なら、その化学の理論を使って新しい物質を作り出すのが「応用化学」。いわば化学を使ったものづくりの学問といえるでしょう。学問としての領域は広く、物質の性質を明らかにし、新たな性質を加えて、新しい製品を作り出すところまで、一連の分野を扱っています。
応用化学と他の学問とのかかわり
見きわめのポイントとしては「ものづくりに興味があるか」
同じ化学分野である理学部系の化学は、名前は近くても研究内容が大きく異なります。ものづくりに興味があれば応用化学と考えるといいかもしれません。
材料工学とも分野がよく似ています。金属は材料工学、それ以外は応用化学と考えていいでしょう。
応用化学では何をどのように学ぶか
1年生から実験にチャレンジ
応用化学は実験を重視しますから、1年生から実験科目を取り入れる大学が多いようです。座学では基礎科目から始まり、徐々に専門科目へステップアップ。それに合わせて実験の難易度も上がっていき、3年後期あるいは4年生からは研究室に配属され、実験の毎日になります。
応用化学はこんな人に向いている
身の回りを「ちょっとでも変えたい」という気持ちを大切に
化学はもちろんのこと、物理、生物、数学など理数科目が得意なことに越したことはありません。しかし、それ以上に重要なのが社会に対する好奇心です。社会や身の回りの課題を化学の力で解決したいという思いがあると、モチベーションも高まり、苦手な科目でも克服できるようになるでしょう。
応用化学を学んだ後の進路と今後の展望
あらゆるものづくり産業で活躍できる可能性
王道は化学メーカーや製薬会社、食品メーカーですが、製品を作るのに化学の知識をまったく使わない産業はありませんから、あらゆるものづくり産業で活躍できる可能性があります。企業の要請に加え、納得いくところまで研究を進めるには、学部の4年間では足りませんから、修士まで合わせた6年計画が推奨されています。
応用化学の先生にきく
応用化学ではこんな研究をしています
手軽に成分を検出できる化学センサーを開発中
あるサンプルの中に特定の物質がどれくらい入っているかを測定できる装置を化学センサーといいます。これで血中の薬の量が測定できれば、適切な量が投与されているかをチェックすることも簡単になりますが、現在は特別な装置がないと測定できません。そこでより手軽に成分を検出できる化学センサーの開発に挑戦しています。(芝浦工業大学 工学部 応用化学科 吉見靖男教授)
薬を覆うコーティング材を研究
わたしたちが薬を飲んだとき、薬が効く時間や体のどこで効き目を発揮させるかを調整しているのが、薬を覆っているカプセルなどのコーティングです。私の研究室で作っているのは、薬をコーティングするゲル、シート、粒子の3つの形態の高分子材料です。それぞれに課題はありますが、実用化できれば、薬がより使いやすく、効果的なものになるはずです。(東京農工大学 工学部 有機材料化学科 村上義彦教授)
応用化学のここが面白い
オリジナリティーが強く保証される学問
応用化学は、センスとひらめきで新しい物質を作りだすのが得意なタイプも、地道な努力で工業化に尽力するタイプも、どちらも受け入れる懐の深い学問です。また、オリジナリティーが強く保証されているので、過度な競争にさらされることなく、自分の道を突き詰めていけるのも魅力です。(芝浦工業大学 工学部 応用化学科 吉見靖男教授)
世界を変える影響力を持っている
新しい物質や素材を生み出すのは化学の力です。実は皆さんの身の回りには化学の力を使った製品があふれています。つまり、化学の応用を目指す学問である応用化学は、世の中を変えられる影響力をもっているともいえるかもしれません。そんな夢をもてるところが一番の魅力でしょう。
もっと先生たちに聞いてみよう

分析化学者のロールモデルとして未来の後輩に寄り添う先生
日本分析化学専門学校 医療医薬分析学科浦賀 朋子先生

地球環境も守る!? 可能性溢れる材料を研究する先生
日本大学 理工学部物質応用化学科小嶋 芳行 教授

応用バイオ科学を様々な分野で活かそうと考えている先生
神奈川工科大学 工学部応用化学生物学科小池 あゆみ 教授
応用化学の学生にきく
応用化学を選んだ理由を教えて!
- 製薬関係の仕事に就きたいから。
- 薬や材料の開発に興味がある。
- 化学の力で環境問題を解決したい。
将来、製薬関係の仕事に就きたいと思っていますが、製薬に限らず視野を広くしたいと考え、無機、有機、物理とさまざまな科目を履修できる化学を選びました。
(理学部 化学生物環境学科 vegetaさん)
小学生のころから理科が好きで、将来は研究職に就きたいと思っていました。特に、薬や材料の開発に興味があります。大学では、薬になる前の素材や材料に付加価値を与え、新たな性質をもたせる研究に楽しさを見いだしました。
(生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻 Mさん)
高校生のころ、身近なものが何からできているのかを調べていたら、化学の分野に興味が湧いてきました。革新的な素材などを作ってみたい!という夢があるので、この学問を選択しました。
(先進工学部 応用化学科 DO8TSU10さん)
もともと化学が好きでした。環境問題の悲惨さを目の当たりにした時からは、化学の力で環境問題を解決したいと思うようにもなりました。進路を考えているころ、環境問題や分析に注力している学部をみつけたことが決め手になりました。
(理学研究科 科学専攻 ボヤッキーさん)
時間割と授業内容を教えて!
キャンパスライフの参考に、理工学部 化学生命系学科2年生の時間割をチェックしてみましょう。
「化学」の基礎や応用が週の大半を占め、「コンピュータ」や「材料」「ジェンダー」といった授業で幅広く知識を身につけます。
1年次は、「数学」や「物理」「解析」など、高校生のころの応用のような科目が多くあります。英語や第二外国語など、一般教養の授業も用意されています。2年次には1年次の基礎から応用へと移り、内容の難易度も上がります。
3年次になると大半が応用の授業となり、分野ごとに深く勉強し、専門的な実験も行います。応用化学は実験を重視するので、1年次から実験科目を取り入れる大学も多いようです。4年次には研究室に配属され、実験を多く行い、研究テーマに沿った卒論に取り組みます。
応用化学ではこんなテーマで学べるよ!
- 動物実験に代わる医療デバイスを開発。
- 体の機能回復を目指す再生医療を研究。
私の研究テーマは医療デバイスの開発です。病気の診断や治療、予防に用いられる機器の開発を行っていますが、特に昨今は動物実験に代わる方法として、とても重要な役割を担っている分野です。
(理学部 化学生命科学科 Nさん)
私は再生医療の研究を行っています。病気やけがなどで失われてしまった体の機能や組織の回復を、細胞治療で目指す研究です。この研究が進むことによって、多くの人々が救われるため、とてもやりがいのあるテーマだと感じています。
(工学部 化学バイオ工学科 ろるさん)
応用化学で楽しかった演習やテーマを教えて!
- 有機酸の反応を調べ、電子の動きを学んだ。
- 化粧品の研究者から話が聞けて、知見が広がった。
- 薬品を扱った専門的な実験に、毎回ワクワクした。
脂肪族有機化学の講義が楽しかったです。カルボン酸やケトンアルデヒドなどの反応性を調べ、電子の動きを学びました。この講義のおかげで有機化学が大好きになり、研究室も有機化学が良いと思うようになりました。
(理学部 化学生物環境学科 vegetaさん)
化学の授業が印象深かったです。化粧品会社で研究や開発の仕事をしている方から直接話を聞く機会がありました。知見が広がるとともに、さまざまなことに興味をもつきっかけになりました。
(工学部 化学バイオ工学科 ろるさん)
私は実験が一番おもしろい!と思います。高校では経験できないような専門的な実験が多く、いろいろ薬品を扱ったりする実験には毎回ワクワクしていました。
(理工学部 化学生命系学科 kiinaさん)
応用化学を学んでみてどうだった?
- 顧客の意見を聞き、ニーズを探ることの重要さを知った。
- 学んだ知識は、あらゆるものづくりの場で生かせると実感。
- 化学反応式が頭の中で浮かぶようになった。
この学問では、生物の知識よりも、物理や化学の知識が重要だと思いました。また、商品開発に当たっては、実際に使用する顧客の意見を取り入れながら、そのニーズを満たす商品の開発を目指すことが大事だとわかりました。
(工学部 化学バイオ工学科 ろるさん)
化学は生物や数学と異なり、体系的に広い知識が求められます。そのおかげで有用性も高く、薬に限らず、食品や自動車など、あらゆるものづくりの場で生かせる学問であると思います。
(理学部 化学生物環境学科 vegetaさん)
有機化学と無機化学は、化学の分野のなかでも特におもしろいです。色や見た目がわかりやすく変化するので、見ているだけでもおもしろいのと、目の前で起きる現象と化学反応式が頭の中で結びつきやすいこともおもしろい要因だと思います。高校で有機化学や無機化学が好きなら、この学問に必ず興味がもてると思います。
(工学部 応用化学科 H.Aさん)
記事はスタディサプリ編集部が応用化学を学ぶ学生に対して独自に行ったアンケートへの回答をもとに構成しており、実際の履修内容は各学校により異なる場合があります。各学校についての詳細な情報は学校ページにてご確認ください。
もっと在校生たちに聞いてみよう

化学は、医療や工業、食など、色んな分野の未来を広げる学問です!
大阪工業大学 工学部 応用化学科
遠藤 由紀乃さん

複数の資格取得にも挑戦中!将来はバイオ系企業での活躍が目標です
日本分析化学専門学校 生命化学分析学科(令和7年度より「農水産バイオ分析学科」に名称変更)
松田 雪乃さん

香りの仕事をめざして挑戦。化粧品などの原材料メーカーから内定も!
日本分析化学専門学校 健康化学分析学科
勝川 明日美さん
もっと卒業生たちに聞いてみよう

水質や土壌調査における有害物質の分析測定を通じて、人々の健康を支えたい!
日本分析化学専門学校 環境化学分析学科
上村渠 佑美さん

社会の役に立つ「理系の仕事」に就く夢を、最高の形で実現できました!
日本分析化学専門学校 健康化学分析学科
市川 花音さん

数多くの実践経験と手厚い就職指導で、希望する医薬分野の分析技術者に!
日本分析化学専門学校 健康化学分析学科
長濱 海斗さん
応用化学に関連する本
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