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警察官は海外で活躍できる?

警察官は海外で活躍できる?

テロ事件が世界各地で発生し、日本人も標的となると示唆する声明が出されるなど、日本国内においてテロの脅威は現実のものになっています。国家・国民の安全を確保する立場である警察組織では、2015年に「警察庁国際テロ対策推進本部」を設置し、政府と連動・連携した国際テロ対策を強化。情報収集・分析を通したテロの未然防止対策のほか、重要施設の警戒警備の徹底、テロ対処部隊の充実強化など、さまざまな取り組みをはじめています。

警察における国際テロ対策の一例

・情報収集&分析の強化
 テロを未然に防ぐためには、幅広く情報を収集し的確に分析することが不可欠です。その情報のほとんどは断片的であることから、情報の蓄積と総合的な分析が求められます。そこで警察庁では、各国治安情報機関などとの連携を強化するとともに、2016年4月、「インターネット・オシントセンター」を設置。キーワード・ウェブサイトなどを指定し、インターネットの公開情報からテロ関連情報を自動的に収集→担当者が集約&分析する仕組みを導入しました。

・警戒警備
重要施設に対するテロ発生を未然に防止するため、首相官邸などの政府関連施設、原子力関連施設、鉄道などの公共交通機関、米国関係施設、駐日外国公館などに機動隊を配置するなど、警戒警備を強化しています。また、最近ではサッカースタジアム・劇場・ライブハウスなどもテロの標的となっていることから、不特定多数の人が集まる施設などでも制服を着用した警察官やパトカーの巡回を行うなど、「見せる警戒」を実施しています。

・小型無人機などの取り締まり
2015年、内閣総理大臣官邸の屋上に小型無人機が落下した事案を踏まえ、国の重要施設に対する上空からのテロを未然に防止するための「小型無人機等飛行禁止法」が施行されました。これは、対象施設の敷地または区域およびその周囲おおむね300mの地域において、ドローンやラジコン飛行機などの小型無人機のほか、気球、ハングライダー、パラグライダーなどを用いて人が飛行することを規制するものです。
警察官は、この法律に違反した者に対し機器の退去などを命ずることができるほか、場合によっては、飛行の妨害や機器の破損などの措置をとることができると規定されています。

・特殊部隊の充実強化
1) SAT
「SAT」は、重要施設占拠などの重大テロ事件、ハイジャックなどに対処するための特殊部隊です。8都道府県警察(北海道、警視庁、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄)に設置され、有事には警察車両や警察航空隊のヘリコプターなどを使用して全国に展開できる体制を整えています。
SATには、ライフル銃、自動小銃などの特殊銃のほか、特殊閃光弾、作戦用ヘリコプターなどが配備され、隊員は射撃訓練などの実践的訓練を重ね、対処能力を磨いています。
また、SATの活動を支援する特殊部隊支援班(通称:スリーエス)は、都道府県警察刑事部との連携や警察本部長の補佐、警察庁との連絡調整を担当しています。

2)銃器対策部隊
全国の機動隊に編成される「銃器対策部隊」は、銃器が使われる事件や重要施設の警備に対応する専門部隊です。テロ発生時にはSATが現場に到着するまでの対応任務や、到着後の支援活動を行います。
隊員は防弾衣、防弾楯、防弾帽のほか、サブマシンガンやライフル銃を装備しています。

3)NBCテロ対応専門部隊
「NBCテロ対応専門部隊」は、核(Nuclear)、生物(Biological)、化学(Chemical)といった物質を使用する国際テロに対抗するための部隊で、9都道府県警察(北海道、宮城、警視庁、千葉、神奈川、愛知、大阪、広島、福岡)に設置されています。
放射性物質、炭疽菌などの生物剤、サリンなどの化学剤を使用したテロや事故が起こった際、現場に急行して原因となる物質の検知・除去を行うほか、被害の拡大防止措置、被害者の救出や救助、避難誘導などにあたります。
NBCテロ対応専門部隊の隊員は、扱う物質の特殊性から、陸上自衛隊化学学校で専門教育を受けることになっています。

4)国際テロリズム緊急展開班
警察庁は、国外で日本人がテロ被害にあった際に出動し、情報収集や現地治安機関への捜査支援を行う「国際テロリズム緊急展開班」を設置しています。常設される組織ではなく、あらかじめ警察内で捜査・鑑識・人質交渉などの専門知識や技能をもつ職員を指定しておき、日本人が海外でテロに巻き込まれたときなどに緊急招集して現地に派遣するものです。
近年では、2014年のアルジェリア人質事件、2015年のISILによる日本人拘束事件、2016年のダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件などに派遣の実績があります。

5)スカイマーシャル
 アメリカにおける同時多発テロ事件以降、航空機をハイジャックしての自爆テロの脅威が高まるとともに、日本でも機内専門の特殊部隊「スカイマーシャル」が導入されることになりました。スカイマーシャルとは、拳銃などを携行した私服警察官がアメリカ行きの日本航空機に警乗し、ハイジャック発生時に機長らと連携して航空機内での犯人の制圧・検挙にあたるもので、「テロリストによるコックピット奪取」を防ぐことを最大の任務としています。なお、保安上の問題から詳細は明らかにされていませんが、メンバーは機動隊員やSAT経験者から選抜され、特殊な訓練を受けていると言われています。

国際的行事におけるテロ対策

2016年に三重県志摩市で開催された「伊勢志摩サミット」では、三重・愛知両県警察への特別派遣部隊約1万5000人を含む最大2万3000人が動員され、テロの未然防止・警備にあたりました。また、複数の都道府県警察が合同で大規模な訓練を実施したほか、各国首脳などを直近で護る警護員については、実践的訓練を繰り返し実施し、個々の実力向上も図られました。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおいては、過去にオリンピックがテロの標的になった例もあることから、万全のテロ対策が求められています。具体的には総勢5万850人の警備体制が組まれる予定で、うち2万1000人を警視庁などの警察官、1万4000人を民間の警備員、9000人をボランティアで構成するとされています。これは日本国内で開かれる国際スポーツ大会では過去最大級の規模で、警察官は主に不審人物や爆発物への警戒などのテロ対策を担当することになっています。
また、人員確保のため多くの警備員未経験者の採用が予想されることから、雑踏警備の経験を積んだ警察官を警備会社に派遣し、観客のセキュリティーチェックや緊急時の避難誘導などの具体的方法を指導する案が出されています。

これからのテロ対策に必要なこと

国境を越えて活動するテロリストの情報を一国で把握し、テロを防ぐことには限界があるため、警察でも各国治安情報機関との信頼関係や情報交換の強化、密接な連絡体制の構築をめざすとしています。
また、日本には無いテロ対策にかかわる組織や制度が整備されている諸外国から学び、新たなテロ対策の導入の検討を引き続き進めていくことが、2016年の警察白書でも語られています。
 さらには、イスラム過激派によるテロ事件が相次いでいる状況を踏まえ、収集したテロ関連情報を的確に分析するため、イスラム過激派組織にまつわる言語・社会・情勢・テロの手法などに精通した人材が必要であることも指摘されています。
テロ対策に関する実践的な教育や訓練の実施に加えて、警察職員に外国語や外国文化の習得をさせることも警察組織の強化につながるとの考えから、今後は採用においてもより多彩な人材が求められていくと予想されます。

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