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銀行員が主人公のドラマや小説はそれほど多くありません。そんな中、良くも悪くも主人公として登場する作品を見てみましょう。そこで描かれていることは、銀行の現場にいる人からどのように見えていたのでしょうか。
銀行員のリアルを伝えた『半沢直樹』
『半沢直樹』Blu-ray/DVD-BOX 好評発売中!
原作:池井戸潤『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』
製作著作・発売元:TBS
販売元:TCエンタテインメント
数年前、池井戸潤さん原作で銀行員が主役のドラマ『半沢直樹』がとても話題になりました。池井戸さんが銀行の出身ということもあって、ドラマの中で飛び交う言葉も実際に銀行で使われているもので、雰囲気がよく出ていると感じ、興味深く見ていたそうです。
これまでのドラマや小説では、銀行員といえば、頭がかたくドラマチックでないタイプの人間として描かれることが多く、あまり人間味が感じられませんでした。しかし、『半沢直樹』では、人間臭い部分が描かれていました。それによって、ドラマに取り上げられることの多い刑事もの、医療ものなどと同じように、現場感が伝わってくる内容になったのです。
もちろん、ドラマで描かれたことがすべてではありません。あそこまで意地悪な人はいませんし、あれほどあからさまに上司に反抗する人もいないでしょう。
銀行員から見ても、大げさに描かれた部分はあるとは思いながらも、当たらずといえども遠からずという感じで現場の空気感や仕事のおもしろさは伝わったのではないかいうことです。
実際、お客さまとの会話のきっかけになったことも多く、
「銀行の仕事も大変だねえ」
と声を掛けられることも増えたそうです。
今まで理解してもらうのが難しかった銀行の仕事に興味をもってもらえるなど、銀行の仕事のおもしろさ、大変を共有できたのは意味があったと考えているそうです。
『紙の月』で自分を律する
『紙の月』/角田 光代/角川春樹事務所
角田光代さんの原作で、宮沢りえさん主演で映画化もされた『紙の月』には、また違う気持ちを呼び起こされたそうです。
この小説は、支店の窓口の女性が、ちょっとした出来心から横領に手を染め、どんどん深みにはまっていくお話です。過去に起きた事件を参考にしていると言われていて、臨場感があります。
読み終わった後、お金を扱う倫理観について深く考えさせられたとともに、どこかで、一歩間違えると、こうなりかねないかもしれない、という怖さを覚えたそうです。お金という人の欲望を暴走させかねないものを扱う危うさ、そうした危険と隣り合わせの場所で働いているということを感じたと言います。
参考にした事件当時から比べると現在は、銀行自体の危機管理が強化されており、同じようなことができるとは思えません。また会社からもそうしたことが起きないように厳しく指導されており、自分が同じようなことをするとは全く考えられません。
しかし、人間的な危うさは誰もがもっています。
「常に自分を律していかなくてはいけない」
と思うきっかけとなった小説だということです。
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