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臨床心理士の20年後、30年後はどうなる?

臨床心理士の20年後、30年後はどうなる?

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IT技術の進化に伴い、近年特に発達しているAIは臨床心理士の仕事にどのような影響を及ぼすのでしょうか。臨床心理士としてクライアントに真摯に向き合うなかで、これから先の20年後、そして30年後はどうなっているでしょうか。ある臨床心理士の想像する未来を紹介します。

AIには臨床心理士の仕事はできない

ある臨床心理士は、AIがいくら発達しているとはいえ、やはり人間との違いは大きいと言います。心理療法やカウンセリングは体験であり、リアルであることが重要だと考えるからです。AIやロボットではなく、実際に人と人がかかわることはどのような影響を及ぼしていくのでしょうか。
発達心理学者であるスーザン・ピンカーは『長生きの秘訣は人との関わり!?(原題:The secret to living longer may be your social life)』という論文を発表しました。長生きに一番特化しているものは何かを調べたところ、運動でも食べ物でもサプリメントでもなく、人とのかかわりだというのです。この人とのかかわりとは、対面して話を聞くこと、つまりカウンセリングという『体験』を指すのではないかと今回話を聞いた臨床心理士は考えています。
 ロールシャッハ・テストにも数値を入力すると解析してくれるシステムがありますが、出てくるシートでの分析や書かれている文言は同じものばかりです。まるで星占いのようで、あまり意味がありません。AIもデータをインプットすることで学習し、成果を出していきますが、やはり機械として同じデータであれば同じ結果を導き出すでしょう。
 人が人と対することは結局、体験することであり、だからこそ意味があるのです。AIには臨床心理士の仕事はできないと考えられます。

働く場所が増えていく

2000年ごろ、女子高校生がなりたい職業のランキング上位に臨床心理士が入ったことがありましたが今はそうでもないようです。なぜなら働く場所が少ないからです。
生活が保障されるように働くとなると病院があげられますが、都内では正社員で雇う病院は少なく、たとえあったとしても、カウンセリングを病院と折半する契約です。その理由は、臨床心理士がカウンセリングを行っても診療報酬の点数が取れず、精神科医の指示が必要になるためです。全国の公立学校ではスクールカウンセラーが配置されていますが、7~8割を女性が占めているのは、時給制やパート、非常勤の契約が多いからだと言われています。逆に言えば、収入が少ないので男性の臨床心理士のなり手が少なかった、ということなのかもしれません。
ただ、現代社会では心の問題を抱える人が増えています。社会的にも個人的にも、臨床心理士を求める機運が高まっているのです。そのため、今後は臨床心理士が働く場所が増えることが予想され、2018年には公認心理師の国家資格制度が導入されます。今後は福利厚生の一つとして、専属の臨床心理士が常勤していることを企業がアピールする時代になるでしょう。社員の心の健康を保つことは健全な企業をつくることであり、明るい社会を築くことでもあります。すでに、社会復帰に当たっての自立支援や予防回復センターが設立され、人生のターミナルを有意義なものにする施設、被害者支援施設など、臨床心理士が活躍するさまざまな場が増えてきています。臨床心理士はやりがいのある仕事として、今後も広がりを見せていくことが予想されています。

取材協力先 松田 正子

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