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言語聴覚士の仕事は、病気や事故により「話す」「理解する」がうまくできなくなってしまった患者さんの支援、食事がとりづらくなっているお年寄りの支援、ことばの発達が遅れている子どもの支援などさまざま。そのため、働く場所も、医療領域、保健領域、福祉領域、教育領域と多岐にわたります。
特に就職先として多いのは病院ですが、病院と言っても、リハビリテーション科・脳外科・耳鼻科・神経内科・小児科・口腔外科など、幅広い科でニーズがあります。最近では、高齢者や認知症患者さんの増加に伴い、特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどで働く言語聴覚士も多くなっています。
このように言語聴覚士として活躍できるフィールドは年々広がっていますので、働く場所を選ぶ際には、「誰をどのように支援したいのか」を考える必要があります。
医療領域
・大学病院
・リハビリテーション専門病院
・リハビリテーションセンター など
日本言語聴覚士協会の調査(2012年7月)によると、協会会員である言語聴覚士の67.8%が医療機関で働いているという結果が出ています。
脳卒中などにより「話す」「聞く(理解する)」「読む」「書く」といった言語障がいを発症した場合、発症後なるべく早期にリハビリを始めることが望ましいとされています。大学病院など救急外来のある病院においては、急性期(発症後、数日から約1カ月の期間)の患者さんに対してのリハビリから言語聴覚士が深くかかわっていくことになります。
その後、回復期に移行した患者さんのリハビリは、多くの場合、リハビリの専門病棟や専門病院、リハビリテーションセンターなどで行われます。
高齢者福祉・保健領域
・特別養護老人ホーム
・老人デイサービスセンター
・認知症専門病院
・訪問リハビリテーション ほか
高齢者を相手にする老人ホームやデイサービスセンターでは、「食べること」の訓練&介助が言語聴覚士の大きな役割になります。病気は患っていなくとも、加齢に伴う身体機能の低下によって「咀嚼して、飲み込む」という動作が困難になっている「摂食・嚥下(えんげ)障がい」の利用者さんが多いことがその理由です。
また、認知症の患者さんの中には「食べ物を食べ物として認識できない」という人もいるので、そういった場合のサポートも求められます。食べたものを噛んで飲み込むことを「嚥下」、食べ物が器官に入り込んでしまった際にそれを排出しようとする反射反応を「嚥下反射」と言いますが、この反射機能が低下すると、食べ物が食道ではなく器官に入り込んでしまい、肺炎を起こしてしまうことがあります。これを誤嚥性肺炎と呼びます。体力のない高齢者の場合、肺炎は生死に大きくかかわる事態となるため、未然に防ぐ手立てを講じることがとても重要になります。
また、「食べること」は人間にとって命を支える行為であり、生きるよろこびでもあります。リハビリを通してそのよろこびを取り戻せるよう導くことも、言語聴覚士としての腕の見せ所であり、やりがいにつながります。
こどもの福祉・療育領域
・特別支援学校
・小児療育センター
・発達障がい児支援センター
・児童デイサービス
・幼稚園、保育所、小学校、中学校 ほか
知的障がい、発達障がい、自閉症などにより、正常な発達段階を踏んでいる同年代の子どもと比べてことばに遅れがあり、集団や社会にうまくなじめない子たちの「ことばの獲得」をサポートします。
言語聴覚士と訓練の場に慣れてもらえるような声掛けと雰囲気づくりに始まり、ボールやおもちゃで遊びながら会話が生まれるきっかけを作ったり、絵の描かれたカードを使って名前当てクイズをしたり、なぞなぞをしたりと、子どもが訓練に興味をもち、遊びの中で自然にことばを習得していけるようなプログラムを行っていきます。
また、子どもの発達に不安を感じているご家族の精神的なケア、家庭で行える訓練の指導をすることも、子どもを相手にする言語聴覚士の大切な役割になります。本を読む、文字を書く、計算をするなど学習面で困難を感じている学童期の子どもには、学習指導を行う場合もあります。
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