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現代社会は、少子化や高齢化の問題、エネルギー問題、テロや紛争の問題など、さまざまな課題を抱え、ジャーナリズムの役割はますます重要になるといわれています。
さらにインターネットの普及による情報の氾濫などによって、“真実”が見極めづらくなっていると指摘され、公平な視点と鋭い切り口で報道をするジャーナリストは、今後ますます活躍の場が広がっていくと予想されています。特に、一つの専門分野に特化したジャーナリスト(スペシャリスト)だけでなく、幅広い視点をもったタイプのジャーナリスト(ゼネラリスト)が求められているといいます。もちろん、ネット時代を見据えた取り組みも重要になっています。
メディアの多様化
インターネットやスマートフォンの普及により、情報が氾濫する社会にあって、マスメディアを中心とする既存の活字メディア(新聞・雑誌・書籍)や放送メディアが行う報道形態が曲がり角に来ているといわれています。特に新聞社や出版社では、若者の活字離れの影響もあり、発行部数の低下や雑誌や本が売れない傾向にあるといいます。放送局でも報道番組の視聴率は伸び悩んでいるといいます。こうした状況が、信念をもったジャーナリストの減少につながり、ジャーナリズムの本質といわれる調査報道が難しくなるのではないかと懸念されています。もちろん、既存のメディアも手をこまねいているわけではなく、ソーシャル時代に合わせた、ウェブニュースの配信やウェブ広告など取り組みを進めています。とはいえ、読売新聞の発行部数は895万部で、朝日新聞は641万部です(日本ABC協会「新聞発行社レポート」2016年7‐12月平均より)。あのニューヨークタイムズが200万部ほどといわれるなかで、世界有数の発行部数を誇る新聞社であることにかわりません。
ジャーナリストもメディアの多様化に対応
かつてジャーナリストといえば、新聞や雑誌など活字メディアに寄稿するのが主な仕事で、好評ならば本を出版するという最終目標がありました。現在もこうした流れは健在ですが、放送メディアへの進出や講演の仕事、さらには、SNSやウェブサイト、インターネット放送やメールマガジンなどに対応する時代がやってきたといいます。
「プロパブリカ」の成功
アメリカでは新しいメディアが誕生しています。インターネットを利用したニュースネットで、なかでも、「プロパブリカ(PROPUBLICA)」という、ニューヨークに拠点をもつ非営利のウェブベースのサイトは、日々のニュースは追わず、調査報道に特化した報道を行っています。その功績が認められ、2011年と2012年にピューリッツァー賞を受賞しています。
「プロパブリカ」はもともと、西海岸の資産家夫妻の「資金を出すので非営利のサイトを」という呼びかけに、ウォールストリートジャーナルの編集主幹だったステイガー氏が同調。社会に潜む問題点や事柄の真相に迫るため、長期間のプロジェクトで取り組み、短くて3カ月、長ければ2~3年かけて、独自取材します。発表の際には、これはテレビで、これなら新聞で、というように発表媒体を選びます。ただし、ほとんど寄付で賄われているというのは、アメリカならではかもしれません。
日本の非営利ニュースネット
アメリカにならい、日本でも、インターネット放送やメールマガジンを利用した、非営利ニュースネットが登場して、注目されています。ただ、現時点では運営はかなり厳しい状況となっていて、どこまで普及することができるか? 今後に期待が寄せられています。