河川の氾濫が起きる経緯を探り、どうすれば被害を減らせるのかを考える
大規模な水路に土を盛り河川堤防を再現。堤防決壊状況を調べる
西日本豪雨の現場にいち早く入り浸水の経緯を分析
ここ数年、日本各地が大きな水害に見舞われ、大きな被害がもたらされています。人々は「50年に一度の記録的な大雨」などという警報に初めのうちこそ反応していましたが、その反応は発令ごとに鈍化しています。それほどに水害は頻繁に起こっているのです。
大規模な浸水の多くは、河川の堤防が決壊し、河川の水が街に流れ込んでしまうことです。私はこうした河川の氾濫や洪水のメカニズムを解明し、どうすれば被害を防げるか、あるいは減らせるのかを研究しています。
例えば、2018年の西日本豪雨の時にはすぐさま被災地の一つである岡山県倉敷市真備町へ行き、現地で調査しました。災害の翌日から復旧作業は始まりますから、早く現地に入らないと災害当時の状況がつかみにくくなります。そういったスピード感がとても大事です。
私が現地でまず確認したのは川の堤防です。堤防が決壊せず残っていれば堤防から溢れる水は多くありませんが、堤防が決壊してしまうと水がドッと街に流れ込んでしまいます。水の溢れ方がまったく異なるので、堤防がどこで、どのように決壊したのかを調べ、いつごろ決壊したのかを把握するのが重要になってきます。
そして収集したデータをもとにコンピュータでシミュレーションをして、地域の住民や国民に、洪水氾濫の状況を伝えられるようにしています。
他分野とも協働して一人でも多くの命・財産を守る
「どのように洪水が発生したか」が解析できたら、次は「どのように逃げるか」を考えます。この時に一番難しいのが周知のしかたです。
事前に発表されていた真備町の洪水ハザードマップ(被害予測地図)を見ると、最大で5メートルも浸水するといわれていました。一般的な建物は1階分が約3メートルですから、2階で大人が立っていても丸々と水に浸かってしまうほどの高さです。
西日本豪雨では、ハザードマップで示されていたような被害が実際に出ました。場所によっては朝、住民が起きて活動し始めたあとに浸水しはじめたところもありました。ところが、それでも逃げ遅れた人がかなりいたのです。30年近くもそこに住んでいて、今まで一回もそんなことがなかったので、まさか本当に家が丸ごと浸水するとは思っていなかったのでしょう。
首都・東京でも、東部の江戸川区や江東区、葛飾区あたりはいわゆる「(海抜)0メートル地帯」で、洪水が起きたら浸水深は5メートルをゆうに超え、約2週間は水没するといわれています。
こうしたことの、マスコミや一般市民への周知を進めるとともに、防災無線の使い方なども工夫し、一人でも多くの命や財産を守れるようにしなければなりません。そのために、心理学や歴史学など土木工学以外の分野とも協力して研究していかなければならないでしょう。
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