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応用化学

応用化学

化学を用いて、我々の生活をよりよくしていくための研究をする

化学を用いて、我々の生活をよりよくしていく方法を追及する学問。新しい素材の開発や、医薬品の開発まで、その範囲は多岐にわたる。

応用化学の学び方

講義
化学の基礎・応用の理論を学ぶほか、研究に必要な範囲の化学数学や化学英語といった科目も学習する
実習
情報処理技術の修得は重要。例えば化学製品の合成の際に、コンピュータを使って化合物の構造を分子レベルで設計するのに活用。
実験
講義で深めた知識をもとに実験を行い、知識の体得と実験技術を身につける。

応用化学 学びのフィールド

物理化学、生物化学など化学の基礎知識や化学実験分析法などを学ぶ<基礎研究分野>と量子化学や電気化学などの<応用研究分野>、錯体化学や天然物化学などを学ぶ<関連研究分野>がある。

<基礎研究分野>
●物理化学
物理学の理論や測定技法を化学に導入し、化学物質の構造・物性・反応に関する理論的体系を構築していく学問。
●分析化学
複雑な集合体である物質を正しく認識するには、徹底的に物質の性質を明らかにしたり、成分を精密に測定する必要がある。分析化学はさまざまな分析方法の創案と開発、応用を行う化学の一分野である。
●有機化学
炭素原子を含む有機化合物を扱うサイエンス。あらゆるところにかかわっている有機化合物の構造や反応機構など有機化学の基礎・基本を学ぶ。
●無機化学
無機化学の特徴は100余りの元素の化学結合の多様性にあり、元素の化学、周期律表の化学、炭素以外の元素に注目した化学といわれる。有機化学が炭素化合物の化学であるなら無機化学は膨大な物質科学の領域を擁する学問である。
●生物化学
生物の体内で起こる反応や生物の代謝産物を化学反応としてとらえ、分子レベルで解析し、法則性を探る。
<応用研究分野>
●量子化学
原子・素粒子レベルを支配する物理法則である「量子論」を理解し、統計力学を土台に分子の化学結合や同一原子・分子の集合体の性質について研究する。
●電気化学
化学反応にともなう電気的現象や電気が引き起こす化学反応について考察する。
●触媒化学
自分自身は化学的に変化することなく、特定の化学反応の進行を促進・抑制し、望む化合物を選択的に合成する働きをする触媒。その触媒機能のメカニズムを解明し、新しい触媒物質を化学合成していく研究を行う。
●高分子化学
有機物質のなかで、分子量が1万以上と多く特殊な性質をもった高分子物質を扱う化学。合成ゴム、合成繊維、プラスチックなどの高機能材料開発の基礎となる。
<関連研究分野>
●錯体化学
錯体化学でいう錯体(錯イオン)とは、金属イオンを有機分子が取り囲んだ形の分子のこと。この領域は無機化学と有機化学の境界にある。新しい錯体の合成やその利用法の研究を行う。
●天然物化学
植物・動物・微生物が生産する天然化合物を取り出し、化学構造の決定を主目的とした学問。理学、農学そして薬学にまたがる広い学問領域がある。
●工業法規
化学工業製品として生産を行ううえでかかわってくる各種の法規を学ぶ。

応用化学の先生に聞く(取材協力:芝浦工業大学工学部 応用化学科 吉見靖男教授)

こんな研究をしています
あるサンプルの中に特定の物質がどれくらい入っているかを測定できる装置を化学センサーといいます。これで血中の薬の量が測定できれば、適切な量が投与されているかをチェックすることも簡単になりますが、現在は特別な装置がないと測定できません。そこでより手軽に成分を検出できる化学センサーの開発に挑戦しています(芝浦工業大学 工学部 応用化学科 吉見靖男教授)。
・抗生物質の量を測る化学センサーの開発
ある液体の中に特定の物質がどれくらい溶けているのかを測定する装置を化学センサーといいます。例えば、食塩水の中に溶けている食塩の量を測るのは塩分濃度計という化学センサーです。
食塩のように身近な物質なら装置も手軽に手に入りますが、医療など専門分野で使われる成分を検出するセンサーとなると、そもそも存在しなかったり、とても高価なものだったりします。抗生物質の化学センサーもその一つです。
抗生物質は、体内に侵入した悪い菌を殺すことで病気を治すというもので、怪我をしたときによく処方されるので、知っている人も多いでしょう。
ところが、投与する抗生物質の量が足りず、菌を仕留めきれないと生き残った菌が抗生物質への耐性を身につけてしまうことがあります(耐性菌)。そうなると抗生物質をあとから打っても効かなくなり、体内でどんどん菌が増えて命にかかわる危険性が高まってしまいます。
かといって投与量が多すぎれば腎臓などを悪くしますから、体内に侵入した菌をちょうど仕留められる程度に抗生物質の量をコントロールできなければなりません。それには血中の抗生物質の量を測定し、仕留めるに十分な量が入っているかを逐一調べ、足りなければ足すという手順を踏んでいくのが有効です。
しかし現状、血中の抗生物質量を測定する装置は特別な検査機関にしかなく、結果が出るまでに数日はかかってしまいます。何日も経ってから「もう少し足したほうがいい」とわかっても、すでに耐性菌ができていて、手遅れという恐れがあります。
そこで私たちは化学センサーとよばれる、特定の分子や成分にのみ反応する物質を作りだそうと研究を進めています。これが実用化すると30秒ほどのかんたんな検査で、抗生物質の十分量が測れるようになります。
抗生物質の量を測る化学センサーの開発
「どんなタイプの人でも活躍できる学問です」と吉見靖男教授
・分子の型を取るミクロの世界のものづくり
とてもミクロな話ですが、石膏に手をぐっと押し当てて手型を作るのと同じように、分子の型を取ると考えるとイメージしやすいと思います。
まず抗生物質の分子の周りに、元になる物質をまとわせ、光を当ててその物質を反応させてプラスチック状の物質に変換させます。その後、中に入っている抗生物質の分子を取り出すと、プラスチック状物質の中に、抗生物質の分子がピッタリ収まる隙間ができます。
この隙間の中に、その抗生物質の分子がピッタリ入ると電流が発生するしくみを作っておけば、雑多な分子が存在する血液の中でも、かたどった抗生物質の濃度に応じた電流が得られます。その電流値を測定することで、血液中の抗生物質の濃度も計算できるというわけです。
最終的には実用化を目指していますから、なるべくかんたんな操作で大量に均質なものが確実に作れるようになるのが理想です。そのために薬品の濃度、光の当て方や距離、均等に光を当てるための試験管の回し方などさまざまな点を工夫しています。
特に抗生物質の分子を型から抜く段階では、なかなかきれいに抜けず苦戦しています。温めたり、酸を使ったり、きれいに抜ける条件をいろいろと試していますが、目に見えない世界の話ですから、電流の流れ方などをみて、きちんと型が取れているかどうか、地道に検証しています。
分子の型を取るミクロの世界のものづくり
神経伝達の研究もしている。細かい作業はつきもの。
応用化学のここがおもしろい
応用化学は、センスとひらめきで新しい物質を作りだすのが得意なタイプも、地道な努力で工業化に尽力するタイプも、どちらも受け入れる懐の深い学問です。また、オリジナリティーが強く保証されているので、過度な競争にさらされることなく、自分の道を突き詰めていけるのも魅力です(芝浦工業大学 工学部 応用化学科 吉見靖男教授)。
・多様なタイプを受け入れる懐の深さ
応用化学というと、何かの物質と物質を反応させて新しい物質を作りだすイメージをもつ人が多いようです。しかし、それは「合成」といって、応用化学の一分野でしかありません。ここに携わる人に求められるのは新しいものを生み出せるセンスやひらめき力です。分子の立体構造や電子の動きをイメージできて、どこに何を使えばいいかが思い描ける能力が必要です。しかし、化学工業にかかわる全体人数からいえば、そういう人はごく一部で十分です。
現場で大多数を占めるのは、その新しい物質をよりかんたんで、安全で、環境を汚さずに安価に作りだす方法の研究など、生産に携わる人たちです。この分野は地道にコツコツやっていけば必ず道が開けるもので、「合成」に携わる人とは違う、根気強さが求められます。
ひらめきを得意とするタイプも、地道にコツコツやることを重視するタイプも、力業で強引に解決にもっていくタイプも活躍の場があるのです。多様なタイプを受け入れる懐の深さは応用化学の魅力の一つです。
・発明したものはいつまでも自分のオリジナルに
例えば、iPhoneのように画期的な製品であっても、分解してみればどんな部品を、どんなふうに組み立てて作っているのかは専門家なら想像がつきますし、再現することもできるかもしれません。つまり、機械工学や電子工学などの分野では、斬新なアイデアで新製品を作っても、すぐに真似されて、類似製品が出てくる可能性があります。
もちろん化学製品も企業や研究所レベルで検査すれば、成分や分子構造を調べることはできます。しかし、成分がわかっても、その作り方まではかんたんにはわからないので、真似することが難しいのです。化学製品は「何でできているか」や「どんなしくみなのか」だけでなく、「どうやって作るか」、つまりプロセスも同じぐらい重要なのです。
つまり、応用化学は、自分が作ったものがいつまでも自分のオリジナルであり続けるということです。まさに「作った者のひとり勝ち」の世界ですね。他者との競争のなかで切磋琢磨していくのが多くの工業分野の魅力だとすれば、応用化学は競争のないなかで自分の道を突き進んでいけるのが魅力だと言えるでしょう。

応用化学の学生に聞く(取材協力:芝浦工業大学工学部 応用化学科 学生)

応用化学を選んだ理由
高校のときの得意科目が学部選択の決め手になったと明かす二人の先輩。応用化学は専門性の高い分野ですから、やはり「好き」や「得意」という気持ちが重要なのでしょう。また、先生や先輩など、進路選択の岐路に立ったときにかかわった人の影響も大きいようです(芝浦工業大学 工学部 応用化学科 3年 新保美咲さん、日高愛子さん)。
・「好き」をベースに、周囲の人の影響で進路決定
新保さん
両親をはじめ周囲に理系が多く、理系進学はどこかで決まっていたような気がします。とりわけ、化学は高校の先生が教えるのがうまく、夢中になって勉強しましたから進路決定に迷いはありませんでした。
大学では3年次の後半には所属する研究室を選ぶことになります。私は神経のしくみや化学センサーといった医療系の分野に興味があったので、化学センサーなどを専門とする研究室を選びました。

日高さん
もともと理数系の科目が得意で、なかでも化学が一番好きだったので、大学でも化学を勉強するというのが自然な流れでした。指定校推薦での進学をねらっていたので、その一覧の中から化学系の学科である応用化学科に進みました。
大学にはTA(ティーチング・アシスタント)といって、大学院の先輩が勉強の相談に乗ってくれる制度があり、私もこの研究室の先輩にすごくよくしてもらったのが縁で研究室を決めました。
「好き」をベースに、周囲の人の影響で進路決定
「化学が好き」という思いから応用化学を選んだ日高愛子さん(左)と新保美咲さん(右)
こんな風に学んでいます
応用化学科なので化学を学ぶのはもちろんですが、実際には生物や物理など隣接分野の勉強も深くかかわってきますので、そういった科目の勉強も重要になります。受験では苦手な科目を回避することもできますが、大学になれば向き合わなければなりませんので、高校生のうちに勉強しておき、苦手意識を克服しておくといいでしょうね(芝浦工業大学 工学部 応用化学科 3年 新保美咲さん、日高愛子さん)。
・基礎理論を学び、実験を修得して、卒業研究へ
日高さん
化学のなかにも、有機化学や無機化学、物理化学などさまざまな分野があるので、1年次はそれぞれの基礎理論を学ぶことになります。2年次になると実験科目など、いかにもの化学らしい学びに触れていきます。3年次からは専門科目の勉強が始まると同時に、研究室のことも考え始めます。私の大学では、3年次の10月に正式配属になります。

新保さん
3年次の間は「導入実験」といって、先輩の実験を手伝いながら実験に慣れていく段階です。4年次になったら卒業研究に向けて自分のテーマを決めて、実験をしていくことになります。
基礎理論を学び、実験を修得して、卒業研究へ
実験が応用化学の醍醐味
・物理や生物の勉強が意外と多い
日高さん
応用化学科なので、いっぱい化学式を書いて、ひたすら化学を勉強するイメージだったのですが、物理や生物など隣接分野の勉強も意外と多いなというのが実感です。高校のときに物理を不得意として勉強から逃げてきたんですが、結局、大学で逃げるに逃げられず勉強することになりました。化学だけ勉強していてもダメなんです。

新保さん
私も同じ印象です。高校の教科ほど物理と化学の境目がはっきりしていなくて、むしろ化学と名のつく学部にいながら化学式はほとんど出てこないと感じるくらいなのに、物理的要素が際立つ印象はありますね。たしかに、熱を加えるという操作は応用化学でも重要なので熱力学を知らなければなりませんし、実験装置を組み立てるのにも物理の知識が不可欠なんですよね。
ですから、化学が好きで、応用化学の道を目指しているとしても、物理や生物の勉強はできる限りしておいたほうがいいと思います。高校のうちに勉強しておいたほうが、大学に入ってから楽になりますよ。
学んでみた感想
同じ学問でも違う分野の研究を進め、それぞれに醍醐味をみつけた二人ですが、座学で覚えた化学式が実験や研究を通して目の前の現象とリンクしてくると、応用化学の楽しみが一層深まるというところでの意見は一致。就職に関しての思いも同様で、「化学メーカーの研究職」といった直接つながりのある就職先でなくても、学んだ知識を生かせる形を探したいと語りました(芝浦工業大学 工学部 応用化学科 3年 新保美咲さん、日高愛子さん)。
・実践のなかで知識と現象が結びついていく
新保さん
3年次から始まる研究は、高校と大学1・2年次の座学で学んできたことの集大成です。得た知識を生かして何か形のあるものを作り上げていくという実践的な段階になると化学の醍醐味を強く感じられるようになります。
同時期にスタートさせた就職活動でも、メーカーの研究職から見始めましたが、技術営業(技術的専門性をもった営業職)など、視野を広げて企業研究をしています。何らかの形で化学にかかわれればいいですね。

日高さん
有機化学と無機化学は、化学の分野のなかでも特におもしろいと感じました。色や見た目がわかりやすく変化するので、目の前で起きている現象と、化学反応式が頭の中で結びつきやすいんです。高校で有機化学や無機化学が好きだったり、得意だったりする人は、大学の勉強にも興味がもてると思います。
就職活動は化学メーカーなど、化学にかかわる企業から目星をつけていきました。やはり、学んだことを少しでも生かせるところで働きたいという気持ちはありますね。研究職は大学院まで進まないと難しいという現実もありますから、あまりこだわらずいろいろな業界・職種を探していこうと考えています。
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