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栄養士の食事を覗き見!

栄養士の食事を覗き見!

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栄養と食のプロフェッショナルである栄養士。栄養バランスのとれた食事を多くの人に提供・指導することを仕事にする職業ですが、栄養士さん自身はどんな食事をしているのか気になりませんか?そこで今回は、現役栄養士さんの食事内容を覗き見させてもらいました!

今回登場する栄養士さんのプロフィール

看護師として生活習慣病患者さんへの看護に携わる中で「食事療法支援」の重要性を再認識し、再入学した大学で「栄養士」「管理栄養士」の資格を取得。「フードコーディネーター」や「野菜ソムリエ」などの資格ももち、旬の野菜や果物のおいしさ・彩りを活かした、からだにやさしく笑顔が生まれる料理の創作をライフワークとする。また、野菜中心のボリュームダウンした食事であっても患者さんが心から満足できるようなレシピを開発することや、料理の魅力を引き立てる食器・カトラリー選びなどテーブルコーディネート研究も行い、“食”を通して健康な人も病気を抱える人も等しく心豊かに生きられる社会をつくることを目標としている。現在は、高血圧・糖尿病センターに看護師 兼 糖尿病療養指導士 兼 栄養課の研究リーダーとして勤務。

<午前勤務の土曜の食事>朝(自宅)

<午前勤務の土曜の食事>朝(自宅)

朴葉餅の柚子味噌添え、三種のきのことえごまの葉の味噌汁、こも豆腐と干し椎茸の煮物、冷しゃぶと刺身蒟蒻のサラダ

「外来患者さんが多く忙しい土曜日を乗り切るための、栄養バランスを意識した献立です。故郷である飛騨の食材(朴葉餅、こも豆腐)を使った和朝食でパワー充電!糖質代謝を促進するビタミンB1の豊富な豚肉は、定期的に食べるよう心がけている食材です。ただし、カロリーオフのため脂身の少ない部位を選ぶのがポイント。うまみ成分の強い昆布やかつお節で出汁をとるほか、市販のドレッシングに酢を足して塩分濃度を薄めるなど、塩分コントロールにも注意しています」。

<午前勤務の土曜の食事>昼(自宅)

<午前勤務の土曜の食事>昼(自宅)


野菜山盛りの冷麺 コチュジャンソース(具:焼き茄子、甘長、えごまの葉、ブロッコリースプラウト、レタス、キムチ、茹で鶏、目玉焼き、ライム)、オクラとインゲンの温サラダ タルタルソース、カラフルトマトのピクルス、自家製サングリア

「朝食から時間が空いたため、空腹による食べすぎや血糖値の急上昇を抑えることを意識して野菜たっぷりのメニューに。家族が畑で収穫し送ってくれた野菜を、素材本来の味を引き出す方法で調理しました。季節の野菜とハーブ(夏野菜にはローズマリーやタイムなど)を一緒に漬けたピクルスは常備菜としてよく作りますね。自家製サングリアは週末に出店するフードイベントのために試作したもので、りんご、ライム、レモングラス、ジャスミンの花などを漬けたオリジナルです。旬の野菜や果物の色や風味、食材同士の相性を活かす方法を考えながら感覚的に料理を楽しむことは、食にまつわる新しい発見やストレス解消にもつながっています」。

<午前勤務の土曜の食事>間食(自宅)

<午前勤務の土曜の食事>間食(自宅)

キルフェボンのレモンとクリームチーズのタルト コリアンダー風味、ブルーベリーと食用ホオズキ、ブラックコーヒー

「買い物時にお気に入りのお店に立ち寄り、新メニューや季節限定メニューから食材の組み合わせなどのアイデアを学ぶのは、ここ数年続けている習慣です。味の想像がつかない商品は購入して試食もします。食用ホオズキを購入したのは、かつて通っていた大学付属の農場。ここでは珍しい野菜や果物の栽培が試みられていて、卒業後も積極的に訪問して見学や試食をさせてもらい、青果の知識を増やしています。また、卒業生として野菜ソムリエとして農場を応援したいという気持ちから、購入した食材をイベントで提供するメニューの材料として使用することも。自分を成長させてくれる人とのつながりはやはり大切ですね」。

<午前勤務の土曜の食事>夜(自宅)

<午前勤務の土曜の食事>夜(自宅)

レモングラスと鶏・豚肉のズッキーニ肉詰め、紫キャベツとカラフルトマトのピクルス、ビールテイスト飲料

「遅めの昼食+おやつも食べたので、夕食は糖質を控えめに。頂き物の珍しい大きな丸ズッキーニで作ったエスニック風味の肉詰めをメインにしました。具材は鶏肉と豚肉のほか、玉ねぎ、レモングラスの茎、ニンニク、生姜など。市販のミンチ肉は脂身が多く、酸化によって風味が落ちることから、使う直前にかたまり肉をフードプロセッサーにかけてミンチ状にして使うことが多いです。手間はかかりますが、安心して美味しい料理を食べるためのこだわりですね。アルコール・カロリー・糖質・プリン体ゼロのビールテイスト飲料は、夏の冷蔵庫に常備し、お酒に合いそうな料理ができた日によく飲んでいます」。

<終日勤務する平日の食事>朝(自宅)

<終日勤務する平日の食事>朝(自宅)

コチュジャンソースの具沢山サンドイッチ、冬瓜とイカと肉団子のレモングラススープ、ヨーグルトのジャスミンシロップがけ、ブラックコーヒー

「慌ただしい平日の朝。週末に下ごしらえしておいた具材(レタス、目玉焼き、茹でインゲン、焼き茄子、えごまの葉、チーズなど)を挟み、冷麺を作ったときの余りのコチュジャンソースをかけただけの、火を使わない簡単サンドイッチをエネルギー源にしました。スープは、週末の肉詰め料理で余ったタネを丸めて肉団子にし、冬瓜、イカ、おくら、大豆の水煮、レモングラスなどと一緒に煮たものです。時間に余裕がない日はスープだけ食べて出勤することも多いので、栄養バランスの整ったスープはよく作り置きしていますね。ちなみにスープは、たんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維の六大栄養素すべてが摂れるよう具材を選ぶのがポイントです。例えば、たんぱく質源→肉・魚・貝・豆・卵、炭水化物源→芋・かぼちゃ・蓮根、脂質源→肉・魚・オイル・ごまなどは使いやすくオススメ。ミネラルと食物繊維は野菜ときのこから主に摂取します。緑黄色野菜と淡色野菜はそれぞれ含有量の多いビタミン・ミネラルが異なるので、両方加えるよう心がけています」。

<終日勤務する平日の食事>朝食直後のデザート(自宅)

<終日勤務する平日の食事>朝食直後のデザート(自宅)

三種のぶどうとジャスミンのババロア、ブラックコーヒー

「週末のフードイベントで販売するデザートを試食。甘い物や果物は脂肪としてつきやすいので、なるべく午前中に食べるようにしています。デザートを作る際は甘くなり過ぎないよう糖度調整に注意を払うほか、血糖上昇しやすいとされる白砂糖だけでなく、きび砂糖や蜂蜜も使い分けます。フードイベントへの出店は趣味ですが、仕事でもプライベートでも自分の活動を通して健康的な食事を世の中に広めたいという想いが根底にあるので、見た目の彩りとともに栄養面にも気を配っていますね」。

<終日勤務する平日の食事>(職場にお弁当を持参)

<終日勤務する平日の食事>(職場にお弁当を持参)

肉団子と紫キャベツのスイートチリ餡、サラダほうれん草、味噌汁、納豆、もずく、温野菜、コーヒー、お土産のクッキー

「朝食のスープに入れた肉団子を紫キャベツと炒め、ナンプラー・スイートチリソース・トマトソースを合わせた餡を絡めたものが主役のお弁当です。職場の先輩が毎日希望者に味噌汁を作ってくれるのですが、味噌汁をつけるとどうしても塩分を多く摂りがちになるので、一日一杯までとルールを決め、勤務日の朝と夜は味噌汁を食べないようにしています。また、持参するおかずも減塩を心がけていますね。体重コントロールが上手くいっていないときは炭水化物の主食を控え、食べ応えのある野菜や納豆で満足感を得るように工夫しています」。

<終日勤務する平日の食事>夜(イタリアンレストランで外食)

<終日勤務する平日の食事>夜(イタリアンレストランで外食)

夏野菜の冷製パスタ、スモークチーズのピザ、トマトと生ハムのサラダ、冷製ポタージュスープ、カフェモカ

「休日前夜は、仕事帰りに職場の先輩と外食することも。旬の食材を使った日替わりパスタや自家製ピザなど、野菜の美味しさを引き出すシェフの丁寧な調理にファンになり、行きつけにしているイタリアンレストランを訪れました。外食時のお店選びでは、野菜をたっぷり摂れるかどうかをポイントにしています。また、仕事終わりの解放感から暴飲暴食してしまいそうになる気持ちを抑え、まずは野菜料理をゆっくり食べ、食後の血糖値の上昇やコレステロールの吸収を防ぐよう常に意識しています。普段は血糖値を急上昇させやすい甘い飲み物は控えていますが、『このお店のカフェモカだけは特別!』とマイルールを決めて楽しんでいます」。

<仕事が休みの日曜の食事>朝(自宅)

<仕事が休みの日曜の食事>朝(自宅)

トースト、ごろごろ野菜のトマトスープ、とうもろこしと鶏のおひたし、ゴールドキウイ

「今日は、アジア料理の仲間と開くフードイベントの本番の日!立ちっぱなしでの調理・接客と体力勝負な一日になるので、エネルギーが長持ちするたんぱく質(肉や大豆)の入った具沢山スープ、疲労回復に良いとされるビタミンA・C・Eが豊富なキウイを選びました。とうもろこしと鶏のおひたしは、テレビの料理番組で見て気になっていたレシピをベースに、「真白」という北海道産の甘味のある玉ねぎとすだちを加えるアレンジをしてみたところ相性バッチリ!料理番組や料理雑誌はほぼ毎日チェックし、レシピのバリエーションを増やす努力を心がけています」。

<仕事が休みの日曜の食事>昼(フードイベント会場で試食を兼ねて)

<仕事が休みの日曜の食事>昼(フードイベント会場で試食を兼ねて)

七面鳥のナシレマ、マンゴーとバニラとココナッツのベイクドチーズケーキ、生ビール


「数週間かけて仕事の合間に準備を進めてきたフードイベント。私はデザート担当として出店しました。自作のケーキを出店仲間とともに試食し、仲間の作ったナシレマを生ビールとともに堪能しました。ナシレマはマレーシアで日常的に食べられている家庭料理で、ココナッツミルクで炊いたごはんにキュウリ、揚げた小魚、卵、ピーナッツ、肉などを添えたものです」。

<仕事が休みの日曜の食事>夜(フードイベントの打ち上げ)

<仕事が休みの日曜の食事>夜(フードイベントの打ち上げ)

マサラ冷麺、ブンチャー(ベトナムつけ麺)、焼きつくね、揚げ春巻き、牡蠣のかき揚げ、ぶどう、生ビール、ブラックコーヒー

「お客さんに恵まれ、用意した数十食の料理は見事完売!主催者全員で、それぞれが持ち寄った料理を肴にビールで乾杯しました。趣味で催すイベントや料理仲間との外食では、来てくれるお客さんや仲間との交流&美味しい料理との出会いを純粋に楽しむことを優先し、健康面は二の次と割り切っています。とはいえ、食べ過ぎや飲み過ぎによるカロリー摂取過多には気を付け、食べる順番も血糖上昇しにくいとされる『野菜→魚・肉→米』を守るようにしていますね。また、『腹九分目まで』『アルコールは一日三杯まで』という緩めのマイルールも課し、食べる楽しみとからだへの配慮を両立させています。ちなみにこの翌日は、取り過ぎた脂質と塩分を控えるよう献立を調整しました。

食事管理をストレスにしないために、「マイルール」を決めよう

「栄養バランスの整った食事が大切なのはわかるけど、毎日続けるのはなかなかハードルが高い…」と感じている人は多いのではないでしょうか?健康を維持するための食事管理は、正しい栄養や食の知識を身につけることだけでなく、無理がなく続けられる自分なりのスタイルを見つけることが重要です。
今回紹介した栄養士さんも、栄養バランスは気にしつつも、「いつもは健康のために控えている物も、○○な日だけはOK!」「栄養バランスが偏ったら、次の日に調整する」「お酒は一日三杯まで」「塩分が強い味噌汁は一日一杯」など、マイルールを作って、ストイックになり過ぎず「食べること」をしっかり楽しんでいる様子でした。
美味しい料理を食べることは生きるよろこびとなり、食事の時間は人と人との大切なコミュニケーションの場でもあります。心身を健やかに保つために栄養バランスは大事ですが、それを気にするあまりに食事がストレスになっては本末転倒。「何を食べるか」と同時に「どう食べるか」を意識しながら、食事とのいい付き合い方を見つけてください。

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