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保健師のズバリ!将来性は?

保健師のズバリ!将来性は?

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保健師の仕事の将来性としては、メンタルヘルスケアにおけるニーズが増加&多様化している現状を踏まえると、“人の心”に寄り添う職業として今後よりいっそう求められていくといえるでしょう。
その背景としては、少子高齢化に加え、生活習慣病患者やうつ病患者、ニコチン・アルコール・薬物依存患者、過労やいじめ、精神疾患を引き金にした自殺者の増加など、社会構造の変化などがあり、医学的知識をバックボーンにしつつ身体と心の両面のケアを行える保健師は、人が生きていくうえで抱えることになるさまざまな問題に対処できる人材として、重要性が年々高まっているからです。これまで保健師の仕事は“病気の予防”“感染症の拡大阻止”など公衆衛生の側面から語られることが多かったのですが、“心の予防医療”にも注目が集まっているとともに、行政・企業・病院・学校・介護と保健師が活躍できる分野は幅広いぶん、ますますニーズが高まっていくと見られます。

保健師は、予防医療への社会的ニーズの高まりへ応える仕事に

生活習慣病の増加や高齢化による医療費の増大が懸念されている背景もあり、国をあげて予防医療に取り組む時代に突入しています。生活習慣病においてはいかにそのサインを素早くみつけ、早期に適切な処置ができるかが重要になるため、健診や健康指導における保健師の責任はより大きなものになりつつあります。
また高齢者においては「いかに自立して健康的な老後を送れるか」が本人とその家族の幸せにつながるため、健康を保つために何ができるのかを広く世間に周知していくことが、予防医療のプロである保健師に期待される役割となっています。

AI技術とも両立していける職種に

「人工知能(AI)が保健師の仕事を代替してしまうのでは?」という疑問の声も上がっていますが、むしろ保健師がAIを活用することで予防医療がより発展していくという見方もあります。医療分野にも人工知能(AI)技術が積極的に取り入れられるなか、、予防医療の分野でも生活習慣病に起因する将来の医療費の予測や、重点的に対策すべき疾病やその因子を可視化するなど、AIの導入事例が一部見られています。このように健康リスクを予測するのがAIの仕事とするならば、人間はそのうえで問題解決へ至る最終判断を下し、肉声を通じて人々へ伝える役割を果たせるといえるでしょう。細やかなコミュニケーションと観察により、わずかな変化や違和感に気づき、異常を早期発見することが重要な職務である保健師は、AIが取って替われない職業であるといわれています。

時代に合わせた柔軟な対応がカギ

保健師が今後活躍するうえで、急速に多様化する社会のニーズにこたえ続けなければならない難しさも出てきています。少子高齢化や晩婚化に加え、国際化・情報化が急速に進む現代日本では、人の健康問題も複雑に変化しています。認知症患者やうつ病患者を相手にするケースが増えているだけでなく、介護と就労の両立ができない介護者が心身の健康を損なうケース、高齢者が高齢者を介護する老老介護、外国人を相手にした保健指導、海外から持ち込まれる感染症への対策、インターネットを介した陰湿ないじめなど、一昔前にはなかった状況が日常的に起こるなか、で、保健師自身もその変化に柔軟に対応しなければなりません。
これまで対処したことのない問題や予測不可能な事態にぶつかる際には、どんな局面においても自身の役割を見失わない冷静さや判断力、周囲と協力しながら困難に果敢に立ち向かう行動力が、大きく試されることになるでしょう。
さらに、社会構造の複雑化により、保健師が対処する問題も多様化していることから、今後はよりいっそう業務の細分化が進むことが予想されています。
保健師の仕事はこれまでも「母子」「成人」「高齢者」「精神」のように担当が分かれていることが一般的でしたが、「母子」といっても、祖父母と同居していて家庭内ケアが充実している母親、核家族かつ夫が多忙でほぼ一人で育児をこなさなくてはいけない母親、母子家庭の母親、家庭内虐待やネグレクト(育児放棄)をしている母親、家庭内暴力に悩む母親、自身が病気を患っている母親など、置かれている状況は個人によって本当にさまざまです。
それらすべてのケースに対処するには、専門的な知識や関係各所との連携が必要になるため、各分野のスペシャリストを育成することが保健師の世界でもスタンダードになっていくことでしょう。

悩みの窓口”として期待される

地域に深く根ざし、生活者の目線に立ったサポートを行う保健師は、人々の“悩みの窓口”としての役割も期待されています。独居老人と呼ばれる一人暮らしの高齢者、日中一人で育児をしている母親、職場や学校にうまく馴染めない人など、どこにも吐き出せない悩みや不安を抱えている人たちにとって、頼りにできる存在となれるのが保健師です。
病名が診断されていなくとも、心身の不調やストレスを感じ、日常生活に支障をきたしている人は少なくありません。「何かあったら、まずは近くの保健師に相談してみよう」と思ってもらえるような存在になることが、誰もが健康的で幸せな毎日を送れる社会を作るための足掛かりになるはずです。

保健師の需要にはまだまだ伸びしろがある

2023年に厚生労働省が発表したデータ(「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」)によると、2022年末の就業保健師は6万299人となっており、2020年の調査から4704人(8.5%)増加しています。また、同時期の就業看護師は131万1687人おり、人口10万人対で比較した場合、看護師が1049.8人いるのに対し、保健師はわずか48.3人という結果が出ています。人口10万人というとそれなりの大きさの市町村に匹敵しますから、それに対する人数としては、まだまだ保健師の数は足りていないという印象が否めません。
保健師の就職先は門戸が狭いといわれることもありますが、生活習慣病の予防や企業・学校におけるメンタルヘルスケアの重要性には年々注目が集まっています。その流れで行政や企業など保健師を雇用する側の「保健師の必要性」の認識が高まっていけば、保健師が活躍するフィールドはさらに広がり、生活者へ提供できるサービスの質もよりいっそう高まっていくと予想できます。

2024年9月更新

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