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理学療法士という職業は、古代ギリシア時代にまでさかのぼるといわれています。理学療法が大きく発展したのは、第一次世界大戦時のアメリカ。日本でも、大正時代にはリハビリが行われていました。
リハビリテーションの原型は古代ギリシアの時代から
理学療法士の実施するリハビリの歴史は、古代ギリシア、医学の父と呼ばれるヒポクラテスの時代までさかのぼるといわれています。
この時代には、ケガや病気を治すために、食事療法や植物などの薬物療法以外にも、太陽や水、熱の力を使った物理療法があり、これがリハビリテーションの起源だと考えられています。
ヒポクラテスは、「運動が健康の維持や疾患の回復に有効である」と言っていたそうです。
時代は流れ、理学療法が大きく発展したのは、第1次世界大戦時のアメリカであるといわれています。戦争による傷病者に対するリハビリの必要から、理学療法の研究が進み、技術者が育成されるようになったのです。
その後、ポリオ(急性灰白髄炎)という、手や足の麻痺を伴う病気の流行により、動かなくなった患者の手足を治療するために、理学療法はさらに進歩していきます。
やがて医療技術が発展し、体系化・専門化されていく中で、物理的手段を用いた治療である理学療法は、医学の補助手段として大きく発展していくことになりました。
日本の医療の近代化とともに、高まる需要
日本で初めて理学療法が行われたのは、大正時代といわれています。東京帝国大学医科大学附属病院の整形外科で、マッサージなどの物理療法が実施されたとの記録が残っています。
日本の理学療法が大きく動き出したのは、昭和に入り、第二次世界大戦後のこと。1960年、厚生労働省(当時は厚生省)が年1回発行する『厚生白書』のなかで、医学的リハビリテーションが医療の重要部門として医学的リハビリテーションについて、初めて言及しました。そしてWHO(世界保健機関)による、理学療法士などを早急に養成するべきとの要請を受けて、1963年、日本初の理学療法士・作業療法士養成校として、国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院が、東京都清瀬市に認可・開校されました(※)。1965年には、『理学療法士および作業療法士法』が施行。この法律により、理学療法士」の職能が公式に定義されたのです。その翌年の1966年に第1回理学療法士国家試験が実施され、合格者は183名。こうして、人と身体の動きを専門とする医療専門職が、日本に初めて誕生したのです。1979年には、短期大学教育が開始され、1992年には、広島大学医学部保健学科に理学療法専攻が設置されて大学教育も開始されました。
けがや病気などで身体に障がいのある人の治療として始まった理学療法は、今では治療のための施設だけでなく、高齢者の介護や介護予防、スポーツなど、広い分野で必要とされています。超高齢社会を迎えて在宅でのリハビリのニーズも高まりを受けても訪問リハビリ事業所が増え、患者さんが自宅でリハビリを受けることができるようにもなっています。
(※)国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院は、2008年に閉校しています。
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